VT62 パラシングル MKU
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回路図

測定結果

ユーザーレポート

当工房の常連のお客様、東広島市のT.K氏から依頼のアンプです。
前作とほぼ同じ構成、デザインですが電源部のオイルコン強化、
出力トランスの変更などご要望を取り入れて製作しました。

Front view

全体に横幅をやや広げて球同士の間隔にゆとりを持たせた配置となりました。

Top view

出力トランス後のケミコンがなくなり、奥行きは短くなっています。

Rear view

それでも後部には余裕がありますので、入出力端子はすべて上面に 配置しました。

inside

フィラメント平滑用の大容量コンデンサーも最近は小さくなりました。 おかげで内部もすっきりしています。

基本回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)



回路構成、使用球など前作とほとんど同じです。
出力段のG−F回路はフィラメント電源の低リップル化で 不要と判明しましたので省いてあります。
VT62は1本あたり550Vx25mA約14Wと軽い動作です。

基本回路図(電源部)


高圧B電源フィルターのチョーク強化と電解コンデンサーの 2階建てを大型オイルコンに変更しました。

測定データ

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

入出力特性

前作とほとんど同じでクリップ点は6.8Wになりますが さらに9Wくらいまで伸びていきます。

歪率特性

歪率特性は向上しました。おそらく出力トランスの差だと思います。

再生周波数特性

低域に僅かな盛り上がりがありますが高域に伸びのあるこのアンプでは バランス的には好感が持てる音になっています。
ダンピングファクターは約4で程よい値です。

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
私のようなマニアはずれを常連と紹介されては Tossie AMPの格が誤解される のではないかとおそれているのですが、以下 感じたことをレポートします。

今回は オールST管構成のアンプが欲しいなぁーという物欲が湧き また 山中さんに無理をお願いしました。
もう一つの思いは 真空管など見たことが無い ましてやランプのような ST管から音がでるなんぞ想念の外の若造を、私の座敷牢に引きずり込み 801Aを点灯して、ヴィンテージに片足突っ込んだような古い設計のラッパを鳴らして “どうだ! 人類は この50年何をしとったんじゃ?!” と ゴタク(良く云えば薀蓄)をたれてみたいという邪念です。

さて お届けいただいた作品は、オールST管構成にふさわしくゆったりとした古典的デザインで いい雰囲気です。
前段と出力段を別々の球で整流するという構成も 山中さんのこだわりが 感じられます。また 今回のワンポイントは 背景に聳え立つ巨大なオイルコンでしょう。
それから シャシーを自分で設計され、加工性の良いアルミ板をリブ構造とし強度を確保して すべて手作りされ、いたずらに高級感を衒わないアマチュア精神(工房をかまえておられる名職人 には失礼な言いぐさですが)をいつも尊敬しています。

最後にかんじんの音ですが、とてもきれいな音です。といっても軟弱系ではなくキリッとしています。 たいへん気に入りました。どうも有難うございました。 ますますの御活躍を祈念しております。

以上、過去に 2A3トランスドライブKT44ULシングルと 2台のアンプをお世話させていただいた、東広島市のT.K.さんからの 3台目アンプのレポートです。


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