Valves' World 番外編その46


11カーブフォノイコライザー内蔵ステレオプリアンプ

 昨年初めに45/2A3コンパチアンプを作らせていただいた盛岡市のUさんからの依頼です。 氏も歴史的なレコードを沢山所有されているようで、その中にはRIAAカーブでは 再現しきれないものもあります。そこで過去にも例がありますが、 ほぼすべての録音カーブを再現できる11種類のイコライザーを 内蔵させたプリアンプの製作となりました。

 今回はステレオ構成で、外見上は通常のプリアンプと同じです。

 入力はフォノMMレベル3系統とライン2系統、 出力は3系統です。

 内蔵したEQの切替は右下のツマミで、カーブは11種類、12番目は イコライズなしのFLATです。


 
 イコライザーユニットは左右合計6枚の基板からなっており、 次の写真のように1枚にそれぞれ4種類が組まれています。 これを4回路12接点のロータリースイッチで切り替えます。


 あらかじめ組んだイコライザー基板を、実際の回路インピーダンスに 近い環境で動作させ、各カーブを正確にトレースするよう微調整したのち 実装しています。
 


 前面パネル上側の見やすいところに、セレクター番号と 各カーブを対照した表をつけました。

 内部はいつものプリアンプと大差ありませんが、赤い線が多数集まっている イコライザー基板あたりが普段と違うところです。

基本回路図

 基本的にはいつもの6DJ8使用イコライザーと同じく6DJ8の SRPPによるバッファーで、定数などもほぼいつもの通りです。



基本性能

イコライザー部
入力インピーダンス 47KΩ
許容入力電圧
0.1%歪時 50mV 1%歪時 400mV 5%歪時 900mV
ゲイン 33dB(約46倍)
残留雑音 100μV以下
(以上RIAAカーブ選択、REC OUT端子にて測定)

ラインアンプ部
入力インピーダンス 145KΩ
定格出力 1V 歪率 0.1%以下
ゲイン 14.5dB (約5.3倍)
出力インピーダンス 1.8KΩ
残留雑音 0.1mV以下


各イコライザー再生カーブ(参考資料)








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