Valves' World 番外編その23
多機能プリアンプ

 前回は7581ppアンプのハム対策と改修でしたが、 今回はその時に持ち込まれたフォノEQとラインアンプの合体化です。 いずれも松並先生の作例(WE404AフォノEQ、6V6Gラインアンプ) をほぼコピーしたものでしたが、これも 盛大なハムに悩まされていたようですし、2台をひとつにまとめて 使いやすくして欲しいというご相談でした。

 パネル面のツマミ配置や色はご相談の上で決定、オーディオ装置の 中枢となるコントロールアンプに相応しい仕上げとしました。 
 本体サイズ 425Wx310Dx160H 重さは約11Kg

 入出力端子群は左列が出力パラで3系統、中列上から CD、AUX、一番下はREC OUTで録音端子として使えますが フォノEQ単体の特性チェックが主要な目的です。右列はフォノ用 入力端子で上からMM、MC(Hi)、MC(Lo)

 元の2台分のパーツとさらにお手持ちのMCおよびCDトランス、 VUメーターなどを詰め込んでかなり窮屈になりました。 左側クロームメッキの円筒がMCステップアップトランス、 左手前黒い方はCDマッチングトランスです。 右手前の基板はOPアンプ使用のメーターアンプ、この下に DC12Vデュアルスイッチング電源がありますので シールド板で出力部から遮蔽してあります。 ケースはいつもどおりアルミ材の組合せによるオリジナルで、 花梨サイドパネルを付けました。

内部のCR類はイコライザー部OUTのカップリングのみ 唯一元アンプから転用した以外すべて一新しました。 拡大写真は こちら

基本回路図

 元のアンプのパーツを活用するため使用球やトランスの制約はありますが、 その範囲内で回路構成を考えてみました。  まずイコライザー部分は元々WE404Aを5極管で使っていましたが、 ゲインが大きすぎますし出力インピーダンスも高いためCRイコライザーも ハイインピーダンス型になり、ストレー容量などの影響を受けてRIAAカーブの 維持が難しく、ノイズに対しても不利になります。ここは三接にしてゲイン、 インピーダンス共に下げ使いやすくしました。 一般的なカソードバイアス回路ですが例によって低カソード抵抗を使いパスコンを省いています。 ラインアンプ初段も404三接の予定でしたが次につながるトーンエンハンサ回路のために より低インピーダンス送り出しの6DJ8 SRPPを採用、 6V6の方は元の出力管並の動作から電流を絞った電圧増幅管動作に改め、 NP−126とのマッチングに努めました。



基本性能

入力インピーダンス  
 MC(Lo) 3Ω MC(Hi) 40Ω MM 47KΩ
 CD/AUX 100KΩ
出力インピーダンス  600Ω
基準出力電圧  1V
入力感度 0.2mV(MC-Lo) 8mV(MM) 500mV(CD/AUX) 
ゲイン 35.5dB(EQ部)  6dB(ラインアンプ部)
RIAAカーブ 再生偏差 ±0.5dB以内 
歪率  0.1%以下(EQ部) 0.4%以下(ラインアンプ部)1KHz基準出力時
ラインアンプ再生周波数帯域  20Hz〜20KHz (−1dB)
  残留ノイズ 0.14mV(補正なし)0.03mV(JIS-A)以下
(VOL最大、入力端子開放・1KΩ終端とも、出力100KΩ負荷)
     


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