Valves' World 番外編その29


フォノEQ付きプリアンプ ケーシングタイプ

TC付きトランス送出ラインアンプ 電源別筐体

 以前7種類のイコライザーカーブを備えたプリアンプを作らせていただいた、 さいたま市のSさんから別室でお使いになるプリアンプ2台目のご注文です。
 今回イコライザーはシンプルにRIAAのみとしましたが、例によって カーブの異なったレコードをお聴きになることも多いので、 その補正が出来るようにターンオーバー切替つきのトーンコントロール機能を付加しました。
 またラインアンプ部の回路構成も前回は6DJ8のSRPPでしたが、 今回はトランス送出も試してみたいということでしたので、工房手持ちの ちょっと変ったトランスを使ってみました。

 内蔵トランスがかなり大きいですし、シールドの問題もあるようなので 電源部は別筐体としましたが、これも見えるところに置くことがあるかもしれないということで それなりの仕上げを施してあります。本体ウッドケースは使用中のタンノイスピーカーに マッチするよう、チーク材のオイル仕上です。
 本体サイズ 425Wx270Dx150H 重さ9Kg
 電源部   175Wx260Dx110H 重さ6Kg

 本体フロントパネルのアップです。
左から電源スイッチ、BASS TREBLEのVOL.その下は ターンオーバー周波数の切替、大きなツマミが音量VOL. その右がバランス調整、下はSTREO/MONOの切替、 次がPhono1と2の選択、右端はPhono Line 1 2の 入力選択です。

 背面端子群は左からLine 1,2、Phono 1,2、 REC OUT、LINE OUTの順です。 右端は電源部からの供給コード接続用で、USオクタルのオスメスコードで つながります。

 内部は何回か採用しているように、底板の上にスペーサーで浮かせたソケットと、 その周りに配した端子ラグで構成しています。今回使ったライン出力トランスは イギリスの SOWTERという会社のもので、写真のようにちょっとしたパワーアンプの 出力トランス並みの大きさがあります。ただシールドはされていませんので 外来ノイズに対しては無防備のようです。 以前他のトランスを入手するさいに 見つけ、そのうち使ってみようと一緒に発注してあったものです。 このトランスの規格などは上記サイトの左フレーム一番上SHOP ONLINEを開き、 Quick Search9040と入力すれば表示されます。

基本回路図

 イコライザー回路はいつもの6DJ8を低電圧大電流で使った宍戸スタイルです。 そのあとに付加したトーンコントロール回路はいわゆるLUXタイプで、 スムースな変化とVOL中点でのフラット特性が良好なため採用しました。 出力段は6DJ8単独のカソードバイアスですが、ここは入力電圧も大きいため バイアス電圧2V程度を確保しなければなりません。いつものように パスコンを省くことは出来ませんが、良質のタンタルコンでカバーしました。



基本性能

入力インピーダンス  
Phono 1,2 47KΩ
Line 1,2 160KΩ

出力インピーダンス  150Ω
基準出力電圧  1V
適合負荷インピーダンス 300Ω以上

入力感度
Phono 6.5mV
Line 230mV
(いずれも基準出力1Vに要する入力電圧)

歪率
 イコライザー部 0.1%以下 ラインアンプ部 0.2%以下
(1KHz基準出力時)

RIAA偏差 0.5dB以内 ラインアンプ周波数特性 16Hz〜24KHz(-1dB)
残留ノイズ 0.2mV以下(補正なし)0.04mV(JIS-A)
(VOL最大、入力端子開放・1KΩ終端とも、出力100KΩ負荷時)

     



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