Valves' World 番外編その17
MCトランス内蔵フォノイコライザー

 過去に300Bアンプなどを作らせていただいている兵庫県太子町のSさんから、 常用カートリッジは決まっているし、つなぐアンプも限定されているので、 単純なイコライザーのみのユニットをという依頼でした。

ラックの空きスペースの都合で本体サイズは限定されていましたが
なんとか収まるサイズにまとめてみました。
132Wx120Hx205D

入出力は単純にLR一組づつ、
カートリッジから入ってイコライズされて出てゆくだけです。

前方3分の1が電源部、シールドで隔ててイコライズユニットを配しています。
左端に見える丸いのが内蔵のMCステップアップトランスで
シールドケースの中に2CH分入っています。

基本回路図

 当初はいつものように6DJ8を使う予定でしたが 依頼者からWEの396Aがあるので使えないだろうかと相談がありました。 パワーアンプの前段などでは何度か使ったことがありますが、 イコライザーのような微細信号を扱う回路では経験がありません。 危ぶみながらテストしてみましたがまずまずの成績が得られましたので、 そのまま活かして採用することにしました。
 回路は例によってカウンターポイント風にカソードパスコンを追放した シンプルなものです。今回はフラットアンプを内蔵していませんし、 プレートの負荷の大きな396Aですので出力インピーダンスは 10KΩとやや高くなっています。今のところこれにつながるアンプは 限定されていますし、続いてラインプリのご依頼も受けていますので それらを考慮しての設計です。


基本性能

入力インピーダンス  2〜20Ω
出力インピーダンス  10KΩ
基準出力電圧  240mV
入力感度 0.3mV (ゲイン58dB)
最大出力電圧 40V以上
歪率  0.1%以下(1KHz基準出力時)
RIAA再生周波数偏差  ±0.5dB (20Hz〜15KHz)
  基準出力に対するS/N比 64dB以上


ユーザーレポート


ギャラリー本館へ

ギャラリー別館へ