Valves' World 番外編その36


CDバッファーアンプ NEW モデル

PPタイプ

 A20 CDバッファーアンプを番外No.8で一番初めに作らせていただいた 大阪・豊中市のNさんからもう1台ということでしたので、今度は 趣向を変えてプッシュプル構成で試作してみました。

 全体のデザインは最初に作らせていただいたA20バッファーと ほぼ同じですが、サイズはやや大きくなり幅375 奥行き260  高さ85、重さは6Kgとなりました。

 入力はCD TUNER MD AUXの4系統、出力1です。

 ケース内部は電源と左右チャンネルの各ユニットに別れており、 あらかじめ組立配線したものを収めてあります。

 増幅部ユニット
これが片チャンネル分の増幅部で、右から入力バッファーの12AX7、 位相反転用のトランスNTK−10、PPアンプの6DJ8そして 出力トランスNP−126の順です。

 増幅ユニット部品取付け面の様子

基本回路図

 基本回路は当工房のパワーアンプでよく採用しているように、 入力部にインピーダンス変換のためのバッファーを設け、 位相反転用の入力トランスとのマッチングをとっています。 このバッファーに接続される機器が600Ωに統一されたものなら この回路は不要で、直接入力トランスに信号を送り込めますが、 出力インピーダンスがまちまちな種々のオーディオ機器を繋ぐには これが必要です。この回路に増幅作用はなく、インピーダンス変換の 役割だけですが、歪も非常に小さく信号の劣化を最小限に 食い止めています。 なお位相反転使った入力トランスNTK−10は、元々 バランス受け用で1次側にセンタータップがある600:600のトランスで、 これを逆に使っていますが、特性的に不都合は見当たりません。 増幅段はシンプル至極、6DJ8によるA級PP回路で 回路図にあるカソードパスコンも実際は不要で入れていません。 電源部は増幅部がPP構成のためリップルなどにとくに気を遣わずとも ノイズ等に悩まされることはありませんし、ヒーター電源も AC点火のままで大丈夫です。 結果としてノイズも少なく、歪率特性も出力電圧8Vまで0.1%以下と優秀、 帯域も十分とPPアンプの良い面がよく現われています。



基本性能

入力インピーダンス  70KΩ
出力インピーダンス  150Ω(実測値)
基準出力電圧  1V
入力感度 300mV (ゲイン10.4dB 約3.3倍)
最大出力電圧 13V以上
歪率  0.03%以下(1KHz基準出力時)
再生周波数帯域  7Hz〜75KHz (-0.5dB)
  残留ノイズ 0.1mV以下(補正なし) 20μV(JIS−A)
(VOL最大、入力端子1KΩ終端、出力100KΩ負荷にて測定)

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