2A3 シングルステレオ |
真空管再利用 |
2年ほど前に
6AH4シングルを作らせていただいた
神戸市のNさんから、
物置に古いアンプがあるのでこれを使って
シングルアンプを作れないだろうかという相談でした。
送っていただいた写真を見ると2A3のPPアンプで、かなり
傷んでいました。
ご希望はシングルでしたし、このさい
トランスは新調することにして出力管の2A3と
位相反転に使ってあった
6N7それに整流管の5AR4だけを再利用することにして、
ご希望のウッドケース仕立、さらにマッチングトランス装備という
構成で仕上げました。
Front view
配置はオーソドックスなものですが、右側にご要望のマッチングトランスと
入力切替、VOLなどを配しました。
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Top view 前方から
トランス類はすべて橋本に統一して新調、
入力は3系統で、うち一つがマッチングトランス経由になりますが、
これのみがタムラ製です。
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Top view 後方から
スピーカー出力は4−8−16オーム対応
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Rear view
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inside
内部拡大写真は こちら |
回路自体はシンプルなCR結合で、出力段はいつもどおり
電流を絞った3.5K負荷動作です。
6N7のμが35で実質増幅率は26倍くらいですから
入力感度はやや低くなりますが、
手元にある球の利用ということで
あえて使用しました。
結果的には入力1.5Vで最大出力が得られましたので
不都合はありません。
CDの音はトランスを通して聴きたいということで、
マッチングトランスを内蔵しました。
入出力特性
歪率特性
再生周波数帯域
ユーザーからのメールによる評価です。 (ご本人の許可を得て掲載しております) |
まず、いろいろとご無理をお願いしましたが、快くお引き受け頂いた事に対し
て深くお礼申し上げます。 スピーカー(Tannoy Greenwich)がオーバーホールから上がってきましたので、 早速繋いで父と一緒に試聴してみました。 いや、試聴のつもりが、あれこれCDを掛け替えてやめられなくなってしまいま した。 音の印象を言葉にするのは難しいものですが、一言で表現するなら、非常に充 実した音です。 三極管シングルという事で、どちらか言うと繊細でこじんまりした音を想像し ていたのですが、繊細さはもちろんのこと、必要とあらば堂々と力に満ちた表 現をする能力も兼ね備えています。 その後も何度か聴いてみましたが、特に感じる美点の一つは、演奏に込められ た内的エネルギーの起伏が良く伝わってくる事です。 充実した音、という印象はそこから来るのでしょう。 柔らかい音に包まれて音楽を聴き終わった後には、感覚的な心地良さ以上の充 足感、生演奏で味わう様な、あの豊かな感じが残ります。 山中様のおっしゃる、「音楽を楽しむ道具としてのアンプ」の役割を文字通り 果たしていると言うべきではないでしょうか。 父も「今まで雑音だったものが楽音に変わった。心安らぐ音で楽しむ音楽は最 高の治療だ」と大変喜んでいます。 余談ですが、耳障りな音がせず、(部屋の音響もあるでしょうが)かなり大き な音でも会話を妨げないので、母にも好評の様です。 2年前同様、この度も満足の行くアンプに仕上げて頂き、感謝しております。 これもまた、長い付き合いになりそうです。 本当にありがとうございました。
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以上、神戸市のNさんからいただいたレポートでした。
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