Valves' World 番外編その47


71Aバッファーアンプ

小出力モニターアンプ兼用

 いつも色々なアンプをご注文いただいている、千葉県市原市のKさんからの依頼です。 ご自身で自作もなされるKさんですが、今回はその過程で余剰になった トランス類を再利用してのバッファーアンプです。

 使用したトランスは某キットメーカーの2A3シングルクラスに使われていたもので、 今回のバッファーにはかなりオーバースペックですが、何とか整合を図ってみました。 その結果71Aシングルとしては堂々たるスタイルに仕上がっており、 遠目には300Bシングルと見間違うほどです。

 前方の3つのツマミは大きいのが出力切替で、ラインアウト1〜4と SPアウトの選択、左右は音量調節用です。

 入力は右端の1系統のみで、続く4組のRCAがラインアウト1〜4、 左端はSPアウトです。

 電源トランスやOPTはすべてリード線直出しになっていましたが、 それらを一旦端子台で受けて内部が煩雑になるのを避けています。

基本回路図

 回路は一般的な71Aシングルアンプと同様ですが、 ラインアンプとしての使用が主目的ですから、特性改善と ゲイン調整・ノイズ軽減のため軽いNFB(3.8dB)を施しています。



基本性能

入力インピーダンス  95KΩ
出力適合負荷インピーダンス 10Ω以上
基準出力電圧  1V 所要入力 500mV (ゲイン6dB 約2倍)
最大出力電圧 4V
歪率  0.2%以下(1KHz基準出力時)
再生周波数帯域  10Hz〜30KHz (−1dB)
  残留ノイズ 0.3mV以下(補正なし)
(VOL最大、入力端子1KΩ終端、出力100KΩ負荷にて測定)

SPアウト時参考データ
出力 0.7W+0.7W 入力感度 1500mV
歪率 0.3%以下(1KHz0.1W時)


ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
71Aアンプの試聴感想です。
 工房のお弟子さんが作られた71Aシングルアンプを3月に工房へお邪魔した時に聞き 直熱管でありながら癖のないシルキー音に魅了されて、 帰宅後すぐに、バッファアンプとモニタアンプ兼用の欲張って2度美味しく楽しめる、 アンプ製作をお願いしました。

 アンプ完成後、新工房へお伺いして試聴しました。 新工房の試聴室は広くとても快適でゆっくり試聴でき、更に嬉しいことに タンノイのエジンバラがありました。早速、持ってきたジョニー・アダムス「the VERDICT」を聞き ジョニーの声が渋くてはスキーに聞こえ、0.7Wとは思えないシルキーな鳴りっぷりに驚きました。 音量を上げて聞くことができない環境の我が家からみると このアンプで音量を上げて聞くことができる最初で最後でしょうか?

 さて我が家での71Aですが、バッファーアンプとしてシルキー癖のない音は変わらずに 小音量でもアルテック601Cを十分鳴らしてくれてます。 発熱量も少なく夏向けのアンプでしょうか?

試聴装置
フィリップスLHH700
アルテック601C+100?ウルトラバス・エンクロージャ
三菱610DB(アルニコ)+純正BOX

試聴CD
ジョニー・アダムス「the VERDICT」
ソニー・ロリンズ「WAY OUT WEST」
コレギュウム・アレウム J.S.バッハ「BWV1066-1069」

以上、Kさんからいただいたレポートです。


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