Valves' World 番外編その16
A20 CDバッファーアンプWE429Aタイプ

長崎県佐世保市のKさんからの依頼です。
当初は5693を使ったいつもの バッファーアンプの予定でしたが、
A20が入手できたこともあって 途中から変更、
さらに他の人と同じでは面白くないということでしたので、
回路やパーツ、仕上げにも拘って製作してみました。
(310Wx210Dx155H)

左から入力セレクター、アッテネーター、パワースイッチ
ツマミ類もそれなりに高級タイプを採用、
カリン材の前面パネルは ツマミの大きさピッタリにくりぬいてあります。

トランス類はプレートチョークがタンゴ、送出しトランスは お馴染みUTC A20、
フィルターチョークはラックス、 電源トランス ノグチと適材適所で各社製品採用です。
シャーシの色はご希望でワインレッドのメタリック

入力は3系統選択、出力2系統パラレルです。

内部では何と言っても左上の東京光音製最高級アッテネーターが光っています。
このパーツだけでちょっとしたアンプが買える値段ですが、
それだけの性能と信頼性を持った製品であることは確かです。

基本回路図

まずA20と組み合わせる真空管としてWE好みの氏の要望も入れ、
大きさなどでバランスの良い429Aを採用しました。 これをパワー管並の動作で使用、
プレート負荷はクラーフ結合として 効率の向上と歪の低減を両立させていますが、
結果として低域特性の改善にも寄与、実在感のある再生音を実現しています。
なおここに使用するチョークは今回採用のTC−60−35Wのように
プレートチョーク用として設計されたものが必要で、
通常の電源フィルター用チョークでは十分な性能が得られません。
カップリングコンデンサーは今回NTKのフィルムコンですが、
スペースは十分ありますので将来色々試してみるのも面白いと思います。
カソード抵抗は100Ωと低く、電流帰還の影響は受けていませんし、
実験の結果でも特性に差異は認められませんでしたので 例によってパスコンは追放しました。
429Aのヒーター電圧20VはPMC−100Mの5V端子2組10Vを 倍電圧整流で得ています。



基本性能

入力インピーダンス  100KΩ
出力インピーダンス  1.6KΩ
基準出力電圧  1V
入力感度 100mV (ゲイン20dB)
最大出力電圧 40V以上
歪率  0.1%以下(1KHz基準出力時)
再生周波数帯域  10Hz〜25KHz (-0.5dB)
  残留ノイズ 0.1mV以下(ATT最大、入力端子1KΩ終端、出力100KΩ負荷、補正なし)
      S/N比  80dB以上(基準出力に対して)


ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
 素晴らしいCDバッファ−アンプを作っていただき有難う御座いました。
私も音そのものに拘るほうなので、早速セットしまして聴きました、凄いのひと言です。 バッファ−を通して聴いた場合とスル−で聴いた場合を何度も一曲が終わらないうちにリピ-トして聴き比べました。 以前300Bシングルアンプを作って頂いた折、山中様からアンプはただ音楽を聴く道具との事でしたが、CDのデジタル機器とパワ−アンプの間に入れるブァッファ−アンプでこれほど音が変わるとは。 奥が深いなぁとつくづく思いました。 セレクタ−で切り替えての、マランツの半導体アンプを通しても聴きましたが以前と比べやはり変わりました。 見事にCDの音を引き出してくれますし、楽器そのものを実在感たっぷりの音を出してくれます。 音に厚みが出て、バァイオリンのピツィカ−ト、鈴、トライアングル、ピアノの弦を叩く音、サックスのリ−ドの唸り、影に隠れている音も凄くよく出ています。 周波数帯域が広くなったせいですか、プレ−トチョ−ク、フィルタ−チョ-ク、A−20トランスとWE429A(作りがいいですね)等の個々の機能が発揮されているようで気持ちよい音となっています。 ボリュ−ム(可変抵抗器)をアッテネ−タ−(減衰器)に変更も良いです。 UTC A−20は電器店に勤める友達から探し出してもらいました。 ついついいい物でお願いしますと注文を付けるものですから、苦心されたと思いました。 山中様はよくまぁ素晴らしいアンプを作られるものだと思っています。
 何時までたっても終わらない、呆れたワルツと言われないうちに今日はこれまでに、失礼いたします。
                                                 有難う御座いました。

以上、長崎県佐世保市のKさんからいただいたレポートです。

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