WE275A トランスドライブ シングルアンプ
.


福岡県久留米市のOさんから前作 205Dアンプに続いて 2台目のご依頼でした。
あまりに有名な300A/Bの影に隠れて使用例の少ない275Aで、
WEの名球あることはあまり知られていません。
2A3などと同等規模の出力管ですがその音質はまさしくWEのものです。
今回その持ち味を十分発揮させるためトランス類を吟味しました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

本体サイズ約420Wx370Dx210H

Top view

出力トランスはOY−15−3.5S、インターステージが 3656PといずれもLUX往年の名トランスです。

Rear view


inside

前回205Dではカップリングに銅箔フィルムを使いましたが、今回は 錫箔フィルムを使ってみました。これも素直な音で好感が持てます。

基本回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)




回路はローμ三極管による2段増幅+トランスドライブという オーソドックスなものですが、
今回工夫してみたのは 段間トランス2次側から初段カソードへの軽度のNFB処理です。
これによる段間トランスの周波数特性改善は顕著で、 トランスドライブのいわゆるカマボコ型f特は解消、
出力管は無帰還動作ですから固有の持ち味そのままで 音楽性を損なうこともありませんし、
NFBループ内に時定数を持つ部分はカップリングと段間トランスの 2箇所のみで、
オーバーオールのNFBを施したときのような 不安定要素もありません。
出力段の動作は2A3あたりと同程度にすれば3W以上の 出力も確保できますが、
貴重な古典球でもありますのでプレート入力約11Wと 本来の65%程度に抑えています。
電源部はこの出力管に相応しく274Aを採用、オイルコンの トップが
10μFとやや大きいので安全のため10Ωを挿入しています。

測定データ

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

入出力特性

クリッピングポイントは約2W強で所用入力は1.7V、
残留雑音はLch1mV、Rch1.6mVとなりました。
右側のノイズレベルがやや高いのは電源トランスと 段間トランスの位置関係によるものです。

歪率特性

ドライバー段までは軽度のNFBを施していますので
これはほとんど275Aそのものの歪特性です。

再生周波数帯域

前段のNFB処理によりかなり 広帯域に仕上がりましたが、
出てきた音はまさに トランスドライブ特有の力強さを伴っています。
出力段にはNFBの影響は及んでいませんので
ダンピングファクターは2.0と無帰還アンプの場合と同じです。

ユーザーレポート


ギャラリーへ戻る