6V6プッシュプルアンプ 



 東京にお住まいのYさんからの依頼です。 過去211、300B等一通りメジャーな球を使ったアンプを依頼いただいております。
 今回は、オーディオ機器の展示会で鳴っていた6V6プッシュプルアンプの音が印象的で忘れられないと言うことで、その再現と言う依頼でした。
 6V6といえば、お値段も出力も手頃で巷ではメジャーな球ですが、当工房での作例が少なく私にとってもいい経験になりました。
 尚、筐体のデザインに関しましては、Yさんのラフスケッチを元に電気的に無理がある部分のみ最低限の修正で製作しました。
 塗装色は赤色指定。 筐体単体では少々派手かな?とも思ったのですが、部品を取り付け、6V6を挿してみると球が黒いため筐体の赤に映えます。

 尚、Yさんも自作をされており手持ちの部品(電源トランス:ST-220)を用いた設計になっています。

回路図

測定結果

ユーザーレポート


Front view 

 入力端子、ボリュームをフロントパネルに配したデザインです。 アンプの横幅が小さいため全体的に狭い感じがしますがその分最短で内部配線が出来るメリットもあります。


Top view 

 材料などの制約により、横幅が、200[mm]になったため全体としてコンパクトになっています。 

 この角度から見ると初段管、出力管、出力トランスと信号の流れどおり部品配置が出来ている事がわかります。
 又、電源部分と増幅部分が前後に別れている事も見て取れます。



Rear view

 背面に、ACインレットとSPターミナルを配しました。
 ACインレットは、特殊仕様でねじ込み式になっており誤って抜ける事がありません。


 内部拡大写真は こちら

基本回路図




原寸大回路図

 回路は、初段に12AX7を用い単管で電圧増幅と位相反転(PK分割方式)を行う、シンプル且つオーソドックスな回路です。
 NFBは、依頼主の希望により6[dB]と、少な目です。

 回路中にある、UL-三結の切り換えは、希望によりラグ版に引き出し、はんだコテで切替える方式としました。
 この手の切り換えスイッチは、一度変えたら滅多に変更しない事も多くユーザーによっては、スイッチにする意味が無場合もあり、目からうろこでした。


測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの健康状態だけは把握しておきたいと思っています。



基本性能


出力 5.8[W] + 5.8[W] 所要入力400[mV](UL接続)
出力 3.2[W] + 3.2[W] 所要入力350[mV](三結)
全高調波歪率 0.7[%]以下(1[kHz]/1[W]時:UL接続)
全高調波歪率 1[%]以下(1[kHz]/1[W]時:三結)

再生周波数帯域 5Hz〜25.8[kHz](-2dB:UL接続)
再生周波数帯域 5Hz〜22[kHz](-2dB:三結)
ダンピングファクター 1.9(UL接続)
ダンピングファクター 2.3(三結)

(残留ノイズ 0.4[mV]以下)

消費電力 59[W](UL接続)、57[W](三結)
本体サイズ 200Wx410Dx150H
重さ 9[kg]



入出力特性

UL接続
 

 三結
 


出力対歪率特性
UL接続
 
 
三結
 


周波数特性
UL接続
 
 
三結
 


ユーザーレポート


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