300Bシングルアンプ 
モノラルx2


香港在住のYさんからのご依頼です。
かの地ではかつて英国領という時代の影響もあってか、
オーディオ界ももっぱら英国製品が主流らしく、
WEなどの米国製アンプ愛好家は少数派だそうです。
でもやはり好きなものは好き、ということで受注となりました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート


Front view

出力トランスは例によってMagnequest社の製品ですが、今回から FS-030の後継機RS-050になりました。 インピーダンスが米国で主流の5KΩになり、なおかつ許容電流や出力容量も大幅にアップしています。


前列に300Bと6SL7それにプレート電流監視用のメーターを配しました。

電源および出力トランスともシールドのないむき出しのままですから、 L字に配置してリーケージフラックスから逃れます。

Rear view

スピーカー端子はご8Ωと16Ωに対応ですが、 MQのトランスがタップ繋ぎ替えによるインピーダンス変更のため、出力端子の間にある スイッチで8−16Ωを切り替えます。

inside

内部拡大写真は こちら

基本回路図


増幅部は今まで何度も作っている、初段6SL7のSRPPによるドライブ、
出力段300Bはセルフバイアスでとくに変わった点はありません。
電源部は香港の220V電源事情と、それと主にアメリカ規格の機器用に使っておられる
ステップダウントランスの120V、このどちらにも対応できるよう
一次側複巻線の特注トランスを採用しました。

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

基本性能
出力 8W 所要入力1100mV
全高調波歪率  0.2%以下(1KHz1W時)
再生周波数帯域 11Hz〜23KHz(−1dB)
ダンピングファクター 3.6 
残留ノイズ 1mV以下(補正なし)
本体サイズ(1台あたり) 275Wx380Dx210H
重さ 14KG

  入出力特性

歪率特性

再生周波数帯域

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
 お世話様です。
300Bアンプの現状の写真とご報告をお送りします。

 中高域ホーンによる2Wayスピーカのマルチ真空管アンプ駆動も 山中さんのお陰で、目的とおり組みあがりました。
まだ1週間ほどの鳴らしこみですが、当初の狙い通り JBLのドライバ2420+アルテックのホーン811を まろやかで艶のある高域、分厚く解像度の高い中域で ドライブしてくれています。

 LEAKのStereo−50で駆動している、JBLのS101の ウーファーともうまくつながってくれ、良く引き締まった、 力強く弾む低音はついつい体が動き出してしまいます。

 300Bは中国製、FULL−MUSICのSpecial Edition セラミックベースのナス管です。
程度の良いWEの300Bが見つかるまでのつなぎでと 思って使ったのですが、これがなかなかの掘り出し物でした。 無理して高価なWE球を探す必要があるのか悩むところです。


 1つだけ、部品の配置で気になったことですが電源スイッチと RCAの入力の位置が逆だったほうが、いずれの配線もより短く シンプルで良かったのでは・・・と思っております。

 これから更に鳴らしこみ、好きなJAZZを心行くまで楽しみたいと 思っております。


 海外在住という条件にも拘わらず、親身に相談にも乗っていただきました。 山中さんのお人柄、経験、知識に託して本当に正解でした。
これからも長くつき合わさせて頂きたいと存じます。
ありがとうございました。  

以上、香港在住のYさんからいただいたレポートと写真でした。


ギャラリーへ戻る