AD1トランス結合シングルステレオ
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当工房からそう遠くない伊丹市にお住まいのYさんから2作目アンプの製作依頼を受けました。
前作は送信管808アンプでしたが、今回は憧れの欧州古典管に挑戦してみたいと おっしゃるので
当店秘蔵のTelefunkenAD1をお勧めしてみました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

主役はなんと言ってもAD1、金屏風に囲まれて二人立っています。 ドライバーのC3gはぐっと沈み込んで、まさしく縁の下の力持ちを演じてもらいました。

Top view
出力トランスはこれも温存していた、旧タンゴのXE60です。

Rear view


左が今回使用のTelefunkenAD1、ズングリしたスタイルは ちょっとビールを飲みすぎてお腹の出てきたドイツのマイスタージンガーといった趣です。 右に並んでいるのは今でも時々見かけるTungsramのAD1で、こちらは かなりスリムです。


inside

内部拡大写真は こちら

基本回路図


貴重な古典球を安全に使用するため例によってトランス結合の採用です。
ドライバーは最近入手しやすくなったSiemensのC3gを三結で使い、
たっぷりのプレート電流でAD1を強力にドライブしています。
出力管の動作は当然自己バイアス、さらに寄生発振予防の抵抗も入れ 万全を期しています。
電源部整流管AZ4のフィラメントは当初PMC−170Mの 2.5V−6.3V間の3.8Vを使う予定でしたが、
タップ位置の関係からか 実際には3.5Vしか得られずエミッション不足となりましたので
やむを得ず6.3Vから1Ω20Wでドロップさせて使っています。

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

基本性能
出力 5Wx2 所要入力 1300mV
全高調波歪率 0.7%以下(1KHz1W時)
再生周波数帯域 14Hz〜39KHz(−1dB)
残留ノイズ 0.3mV
ダンピングファクター 2.4

入出力特性

強力なドライバーとトランス結合のおかげで 出力は
AD1の公称値4.2Wを超え、5W近くまでリニアに伸びています。

歪率特性

出力1Wまでは0.7%以下と標準的な値ですし、
歪の増え方も 素直で緩やかな曲線です。

再生周波数帯域

C3g三結とNC−14の相性は良かったようで、
20Hz〜20KHzフラットと十分な帯域を確保、
不自然なピークやディップも見当たりません。

ユーザーレポート

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