45シングル高域専用アンプ
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バイアンプでツイーターを駆動する高域特性を重視した アンプをという依頼で作ってみました。
それぞれのスピーカーのすぐそばに設置できるよう モノラル構成としました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

モノラル構成で1台が120x270mmというコンパクトなサイズですが、 今回はウッドケースに凝ってみました。

Rear view

出力トランスは当初、山水HS−5を予定していましたがより高域特性の 優れたM−757に変更となりました。(本当はタンゴH5−Sが 使いたかったのですがどうしても入手できませんでした。)

inside

内部はかなり狭く小型部品でしのぎましたが、山本音響のテフロンソケット、 WIMAやシルバーマイカのカップリング、フィルムコンなど要所は押さえました。 また信号経路は銀線使用で高域の輝きを狙っています。

基本回路図


初段にはローノイズ、低歪率で定評のある5693を使用、 出力段とのカップリングで
ハイパスフィルターを形成して よりクリーンな高域信号を45に送り込み混変調歪を低減させる算段です。
結果は歪率特性のグラフにも現れています。 0.22μFを付加することで通常のアンプとしても使用できます。
ただカットオフ周波数は1KHzですので、ツイーターに合わせて SPアウトにはコンデンサーの挿入は必要です。
無帰還でも十分高域は伸びていますが、さらにOPT2次側から 初段カソードに
僅か2.5dBのNFBで70KHz(−3dB)まで改善できました。
その他、繊細な音域を扱う部分ですので残留ノイズには配慮、 45は安定化電源によるDC点火、
B電源には30Hのチョーク による平滑回路などとして、結果的には80μVとなりました。

測定データ

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

入出力特性

全高調波歪率

再生周波数帯域

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
 今、45という出力管にすっかり魅了されています。 いろんな音のアンプがあるかと思いますがその清純な佇まいに 心が洗われるような思いです。
こんな雰囲気を持つアンプは他にないのではないでしょうか。

 最初、音を聞いた時、ペラペラな音で、ちょっとショックでした。 それはエージング不足が原因だったわけですが、 通算50時間を超えた辺りから、繊細でありながら凛とした音に かわってきました。
EL34PPをウーハーに繋ぎ、45シングルをツイータに繋いで聴いてますが 今は45の音がEL34を浄化し、清らかな雰囲気で全体を包んでくれます。 まろやかさで心が和むというより、その清楚さゆえに心の傷が癒される そんな音の感触にすっかり魅了されております。

 CR結合を利用したハイバスフィルターも小容量のコンデンサー だけの方が、聴感上もより音楽の表現が柔軟になり、 素晴らしいアイデアと思いました。

 ただ新たなる悩みが..
今のスピーカ、87dBしか音圧能率がなく、 ジャズ、ボーカルを聴いている時は感じないのですが、声楽の 張り上げる声でクリップしたり、クラシックでは厳しいCDが あるようです。
そして音が浄化されるとはいえ、EL34の音の近代的な切れ味、 エネルギー感とはちょっと音色が合わないと感じます。 となると高能率のスピーカが必要になるわけですが、今使用の 小型SPにかわる、気に入りそうな小型高能率SPは見あたりません。 心の底から気に入った小型高能率SPがあれば中低域は 45プッシュブルで駆動したい、そんな夢を描いています。

45はプリアンプの奥行きがないのでプリアンプの後ろという 一番目に付くところに置いて音も姿も鑑賞させて頂いております。
プリアンプの上に机の上面が入り込むようになっておりまして、 本を読んだりする時、顔を上げたら45シングルが目の前にあるという レイアウトになります。 なぜ外観にこだわったかといいますと観賞用も兼ねていたからですが、 ちらっと目を上げては、ニンマリとしています。(笑)

今後ともご健勝で、いいアンプを製作下さい。 良いアンプをありがとうございました。

以上、現在お仕事の関係で韓国ソウル在住のユーザー様からのメールおよび 添付写真です。


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