71Aシングル ステレオアンプ
12A共用

東京・武蔵野市のUさんからの製作依頼アンプです。
小出力ながら透明な再生音で定評のある71Aですが、
今回は一回り小さな12Aも差し替えて使える共用アンプとしてみました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

Ken-Rad71A使用時

RCA UX112Aを装着してみました。 このほかにも国産ラジオ球の12Aなどが安価でまだまだあるようですから 楽しめます。

Top view

出力トランスとチョークは手持ち在庫品の中からLux製品でまとめてみました。

Rear view


inside

内部拡大写真は こちら

回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)


12Aとの共用ということで出力トランスには71Aにはやや高め、 12Aには低目と、
両者に歩み寄ってもらうことにして7KΩのSS5B7を採用しました。
電源部に挿入した1.5KΩ抵抗1本のおかげで、両者に適正電圧を供給できますので、
操作間違いなどで出力管を傷めるような事態は起きません。
71Aの動作は定格の8割程度、12Aは定格どおりの動作となります。

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

入出力特性

入力500mVで0.5Wの出力です。
12Aの時にはμが大きいため140mVで0.2Wの定格出力になります。
いずれの場合も超ミニパワーですが、
能率90dB程度以上のスピーカーでしたら 十分な音量で鳴ってくれます。

歪率特性

再生周波数帯域

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
Tossieアンプによせて

 Valves’ WorldのTossieさんのHPによれば、彼はこれまで約150台のアンプを製作されたと記されています。 私はそのうち、3台(PX-4 SE, 71APP, 5693 Pre)のアンプをこれまで製作していただきました。 この3台からも分かるように、市販品では使われにくい真空管を使ったアンプをプロの確かな技術と腕で (しかも安価に)製作していただいて、Tossieさんには本当に感謝しております。

 今回は71A シングルアンプを製作していただきました。71Aを使っていただいたのは、 想定される使用状況から考えて1W未満の小音量しか必要としなかったこと、 以前に購入した71APPアンプの音が大変に美しかったこと、 その71APPアンプと出力管を共有できることなどが理由です。
 過去に3台もお世話になってきたことや、Tossieさんご自身も過去に何台かの 71Aシングルアンプを製作されており彼にとっては何の目新しさもないと思われることなどから、 注文にあたってはかなりの躊躇もしましたが、思い切って問い合わせをさせていただいたところ、 Tossieさんから「71Aアンプは好きなので何台作っても構わない」という嬉しいご返事をいただきました。

 今回の製作に当たって、私が出した希望は、出力を控えめにして欲しいというものでした。 周知のように71Aは定格どおりの使用だと0.8w弱の出力を出せますが、 私が使用する部屋の条件からいっても、また、所有しておりますナス管の171Aを 無理なく使いたいということからいっても、より小出力のほうがいいと思ったからです。
 Tossieさんからは、最大出力を0.5w程度に抑えるように設計し、 さらにそれによって71Aだけではなく12Aも使えるようにできるというお話をうかがいました。 12Aの音などは全く聞いたこともなかったし、聞けるとも思わなかったので、その話はとても嬉しく感じました。

 アンプは1月29日(土)に届きました。スペースの制約があり、プリも使わず、 PE16M+バスレフという、余り恵まれていない環境で利用しておりますが、 小音量ながらも品位が落ちないのはさすがに71Aだと思います。数多くのTossieアンプの中で、 このアンプはおそらく最も低出力のものであると思いますが、それでも家庭で聞くには十分であると思いました。 ワイドレンジの大迫力大音量アンプではありませんから、どんな音楽にも合うアンプというわけにはいきませんが、 小編成のクラシックや、ジャズの女性ヴォーカルなどには最適です。 ジャズ好きの人からいわせると邪道かもしれませんが、金管の音色がかなり柔らかくなるので、 これまでは少し苦手だったトランペットやサックスを含んだジャズの演奏も心地よく聞いています。 小音量アンプの音は、大音量アンプの音量を絞ったものとは違うとよく言いますが、 そのことを実感するような、清楚でありながらも華やかさを失わない音色は、 いつまでも聞いていたくなる素晴らしいものであると思います。

 TossieさんはHPにもありますように兵庫県宝塚市に住んでおられます。 宝塚市は宝塚歌劇団の本拠地でもあります。宝塚歌劇が好きな私は、 観劇のために年に数回は同地を訪れます。宝塚歌劇の本拠地だからでしょうか、 宝塚市は伝統がありながらも、上品な華やかさにあふれている、とても魅力的な街です。 Tossieさんの作られる真空管アンプの音も、そんな宝塚市にも似た独自の味わいを持っているように思います。 これからも益々魅力的な製品を作っていただけるよう心からお祈り申しあげます。

2005年2月6日
東京都武蔵野市 U

以上、いつもお世話になっている武蔵野某大学教授のUさんから、今回の71Aアンプに 対するコメントでした。


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