VT62パラシングル ステレオ
.

埼玉県秩父市のTさんからいただいたご相談は
真空管や出力・電源トランスなど主要部品は既に入手しているので、
あとは希望通りのデザインに仕上げて欲しいというものでした。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

お手持ちの電源トランス タンゴMX−150は 出力トランスに合わせてグレーに再塗装しました。

Top view

両側のVT62に挟まれた初段およびドライバーは ご本人の希望で十字型に配置しました。
シャーシサイズは400x250

Rear view

出力トランスはタムラの特注品SOT−850で、 某キットメーカーで採用されているものです。

inside

内部拡大写真は こちら

回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)



当初ドライバーは手持ちの関係で初段と同じ76の予定でしたが、
以前から当工房で採用している出力管の三結としました。
この方がやはり出てくる音に力強さが感じられます。
電源部はいつものように出力段と前段をそれぞれ別々の整流管で行い、
今回はさらにチョークを2台使って左右も分離させましたが、
低域セパレーションにおいて、モノラルアンプ2台に匹敵する効果を実感できました。
なお、電源トランスMX−150が、本来ダイオード整流を前提としたものですので、
B電圧が若干低めになりましたが、出力の低下は一割程度に収まっています。

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

出力 6Wx2 所要入力 1500mV
全高調波歪率 0.5%以下(1KHz1W時)
再生周波数帯域 20Hz〜30KHz(+0、−2dB)
残留ノイズ 0.7mV以下
ダンピングファクター 6.6

以上のように過去に発表した2台のパラシングルとほぼ同様の結果でした。

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
 VT62パラ・シングルステレオアンプが届いてから、二週間ほど経ちまし た。 毎日、二〜三時間聴いていますが、とても満足しています。

 デザインについては、真空管のレイアウト等、ほぼ希望通りのアンプを、 作っていただきました。
真空管アンプには、真空管を見る楽しみもあると思いますので、以前から このようなデザインを想い描いていましたが、それが形になった感じです。 部屋を暗くして、四本のVT62のフィラメントが煌々と輝く様子を見るのも、 楽しいものです。

 スイッチを入れて、まず最初に、残留ノイズが少ないのに驚きました。 100db以上の高能率のスピーカーを使っていますが、耳をスピーカー にくっつけて、わずかにハムが聞こえる程度でした。

 音については、高音も低音も十分に伸びていて、しっかりとした音が出て いると思いました。 特に低音は、予想外にキレが良く充実していますが、電源部を左右に分 離させた効果でしょうか。
高音は、山中様から出力トランスの高域特性が良くないとの指摘があり、 心配していましたが、実際に聴いた限りでは、特に影響は感じられません でした。
 出力は6W×2ですが、現在使用しているMOS−FETの300W×2のパワ ーアンプと比べても、低音・高音の伸び、バランス、分解能等で、特に不満 は感じられませんでした。 音が微妙に柔らかく、耳に心地よく響きますが、これが真空管アンプの味 なのでしょうか。

 アンプの仕上がりは素晴らしく、デザインも音も、とても気に入っています。 まさに、世界にたった一台のオンリー・ワンのアンプだと思います。 最初はサブのアンプとして、時々真空管に灯を入れて楽しむつもりでした が、暫くはメインで使うことになりそうです。

この度は、素晴らしいアンプを作っていただき、ありがとうございました。

以上、埼玉県秩父市のTさんからレポートです。


ギャラリーへ戻る