811A ダイナミックカップルドアンプ
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当工房の定番アンプ、811Aダイナミックカップルドアンプですが、
今回は依頼者の提案で整流管に冷陰極整流管CK1006と、
ドライバー段へのデカップリング抵抗の代わりに 定電圧放電管VR90を採用、
見た目にも楽しいアンプが出来上がりました。


光り輝くトリタンの811AにCK1006の青白いプラズマと
VR90のオレンジ色のネオン放電が色を添えます。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

光物3本がよく見えるよう配置を工夫してみました。

Top view

電源トランスとチョークがノグチ、出力トランスはタンゴU−808、 いづれもシールドはされていますがケースなしですので、 それぞれ磁束方向を90度ずらして配置してあります。

Rear view

依頼者の要望で端子類、入力VRなどすべてリアパネルに設置、 前面は電源スイッチだけです。

inside


基本回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)



基本的な回路は今までのダイナミックカップルドアンプと大差ありません。
B電源の整流に冷陰極整流管CK1006の採用と、
ドライバー段へのデカップリング抵抗の一部に定電圧放電管を使っています。
整流管および放電管からのノイズが懸念されましたが 支障になるようなものはありませんでした。
CK1006は5AR4並の整流効率ですが、 安定動作に至るまで若干の電圧ドリフトがあり、
また、整流管としての寿命は未知数です。

測定データ

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

入出力特性

クリップ点は約12.5Wで、1.1Vの入力で得られます。

歪率特性

NFBは8dBと少な目ですが出力1W時で0.3%前後、 10W時でも3%以下と今までのアンプとほぼ同等の性能です。
残留ノイズは0.6〜0.8mVで、ノイズ波形には若干整流管からの ものと思われる
パルス性のものが含まれていますが、 高能率のスピーカーでも音としては確認できません。

再生周波数帯域

かなり広帯域で19Hz〜47KHzまでが−0.5dBで収まっており、 低域、高域ともにピークはなく、スムースに減衰しています。
ダンピングファクターは約1.6で、やや小さ目ですが、 NFBを12dBくらいまで増やすと
3程度になりますので スピーカーによっては調整してみてもいいかと思います。
15dBくらいまでは簡単な補正で安定してかけられます。

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
 昨年の暮れ、Valves' World、Tossieさまに811Aアンプの製作をお願いし、色々と 工房でお話をさせていただきながら、今回の光物アンプの構想を考えていただきました。
 季節柄クリスマスシーズンにあわせ、811Aアンプのトリタンの輝きと、整流管の放電光 を生かし、さらに定電圧放電管を加えた、光物3揃えのアンプとして、今回の811A アンプが完成いたしました。早々完成後、工房で拝見、その光り輝くアンプの姿に まさに、私が求めていた真空管アンプとして仕上げていただき、大変感動いたしました。
 そして依頼者の思いを創造し、アンプの形に実現できるTossieさまの才能には、まさに アンプ作りの神様のような方だと思います。
 アンプを手元に受け取ってから、さらに 色々とチューニングを実施していただき、とても素晴らしいアンプに仕上りました。
あれから半年以上が経過、エージングも十分に進み、直熱3極管シングルアンプ特有 の高音域の伸びと、十分な低音の押し出し感がさらに増してきております。

 この夏は猛暑で非常に暑く、普段でしたら真空管アンプなど聞いていれないのですが、 この光物アンプの放電管をオレンジ系からブルー系に交換し、夏向きの涼しげなアンプ に衣替えして、今も視聴しております。アンプ自信は暑いのですが、見た目が涼しく見え るので、暑さも苦になりません。
   真空管アンプは球を交換することができるので、こういう時には便利だと思いました。 Tossieさまには、今回色々とお世話になりありがとうございました。工房でのアンプ作り も、この暑さで大変でしょうが、お身体を大切にしてください。そしてさらにたくさんの作品 がValves' Worldのホームページに掲載され、ご発展されんことを心より願っております。

以上、兵庫県明石市のTさんからのレポートでした。


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