RV239 シングル ステレオアンプ |
オリジナル チューブガード付き |
富山県南砺市のS氏からの依頼です。昨年バッファーアンプを作らせていただきましたが、
今度はパワーアンプをということで、自らお集めになった戦前のドイツ球を各種
お送りいただきました。当初は一般的なAD1辺りの予定でしたが、その後エスカレートしてしまい
遂には幻の銘球RV239をドイツより入手、今回はこれでということになりました。
因みに氏はそのあとも探索を続けておられ現在RS282も手に入れられた模様です。
このアンプの到着時の様子や、使用真空管の詳しい情報などがオーナーの ブログで現在紹介されおり、引続き試用レポートなども登場すると思います。ご期待下さい。 |
アンプのデザインは一般的なステレオアンプスタイルですが、
何せ稀少な真空管ばかり、万一のことを考えて下の写真のように
以前も採用したことがあるチューブガードを装備しました。
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Top view
トランス類は出力がX−10SF、ドライバーにいつものNC−20F、
電源トランスは規格品がありませんので特注も考えましたが、
カタログ品のMX−205を2台使って解決、これをX−10と
ほぼ同じ大きさのケースに収容しました。
この部分はした写真のようにシャーシを挟んで2台上下に設置してあります。
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Rear view
ヒューズホルダーとSP端子の間にあるのはRV239の
バイアス電圧をチェックするための端子で、ここにテスターを繋ぎ
130Vを確認します。
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まず出力管のRV239、左2本がKLANGFILM 右2本がTelefunken、 どちらも1930年代のものです。 ソケットベースは普通と逆で 球の方にピンが刺さるようになっていますので、バナナチップを ベーク板に立てて作りました。 中央上下2ヶ所の丸穴はハムバランサーの調整穴。 |
つぎはドライバーに採用したRL12T15(両側2本)、傍熱3極出力管でこのソケットも かなり特殊、ベースピンがカソードになっていますが、これはオリジナルが 入手できました。真ん中は今回採用を見送ったRES964で直熱5極管 |
こちらは初段管のREN904、ナス管タイプとSTタイプ2種 ベースは一般的なUF5P |
そして整流管RGN1404、中央がValvo、右がKlangfilmで 半波整流管です。右のKlangfikmを使いたかったのですが、 あいにく一本しかありませんでした。左は前段用のEZ12 |
内部拡大写真は こちら |
RV239はこの動作条件でもバイスが130V程度と845などより 深くなりますので、CR2段増幅で電圧を稼ぎ、トランスを介してRV239をドライブしています。 初段から出力段までいずれも製作例の殆どない真空管で、まず資料集めと 試作によるデータ収集から始め、決定した回路です。 出力トランスX−10SFは10Kのままでも十分性能を確保できますが、 6Ω端子に8Ω負荷で、実質13.3Kとして使用、歪率とDFに改善がみられました。 電源部は適合するものがないため、ややイレギュラーな使用法ですが市販カタログ品で まかなえるよう設計してみました。RV239のフィラメントは7〜7.2Vとなっていますが、 6.3V整流に3万μFを抱かせて6.8Vを確保、正常動作の範囲に収まりました。 高圧B電源は2台のトランスをシリーズにして640Vの両波整流、ただし1台ごとの トランスは片波動作ですので若干の唸りを生じておりますが、支障のないレベルです。 |
当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を
追求するアンプでもありませんが、お渡しするアンプの
健康状態だけは把握しておきたいと思っています。
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出力 9W+9W 所要入力460mV
全高調波歪率 0.6%(1KHz 1W時)
再生周波数帯域 17Hz〜38KHz(−1dB)
ダンピングファクター 3.7
残留ノイズ 1.5mV以下(補正なし)
消費電力 195W
本体サイズ 550Wx380Dx300H
重さ 37KG
入出力特性
出力対歪率特性
周波数特性