R120 シングル ステレオ MKU 
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オークション出品時の説明文より抜粋
・・・・・以前にも出品したことのあるR120のシングル・ステレオアンプです。 前作では初段がEF37、OPTがタンゴFW−20Sでしたが、往年の名トランス、 ラックスのSS5Bが入手出来ましたので新たな回路で組み上げてみました。 R120はご存知のように管球ファンの間では「フランス美人」とも称される独特の フォルムを持った美しい球で、2A3によく似た動作特性の傍熱3極管です。 ただし、この「フランス美人」の歌声は一聴の価値がある素晴らしいもので、 特に高域の繊細さ、表現力の豊かさは2A3をはるかに凌ぐと、故・浅野勇氏も絶賛していますし、 かつて、芸術の都パリで業務用トーキーアンプの出力管として活躍したのも頷けます。

出力管R120は仏RT社のメッシュプレート・タイプとSB社の板プレート・タイプの2種類を 用意しておりますので落札後に指定してください。ただし、 メッシュタイプは動作確認済みの中古良品 (浅野先生が使用されたのと同タイプで希少品)、 板プレートの方は新品(このアンプで動作テストのみ使用)です。 私が試聴した感じでは板プレートのほうがやや硬質かなという気がしました。

R120以外の使用真空管は,前段ECC35と整流管GZ32は英Mullardと 欧州管で揃えてみました。トランス類はPTがタンゴLH−150、OPTは ラックスSS5B2.5、、CHラックス5BC5です。ラックスのトランス類に 合わせて280(W)x200(D)x60(H)の小さなシャーシにこじんまりとまとめてみました。

主要定格

注! このアンプはその後コスト低減のため、前段ECC35を6SN7に、 整流管GZ32を5CG4にそれぞれ変更しております。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

Rear view

top view

inside

回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)と回路説明



電圧増幅部は前作ではペントードEF37でしたが、今回はECC35によるSRPPです。 ここはもちろん6SL7でもOKですが、R120にふさわしい欧州管として 英MullardのECC35を奢っています。ただし、左右でベースの色が茶と黒と、 揃っていないのが残念ですが・・・。 出力段はR120をメーカー発表の標準動作例そのままの自己バイアス回路で使用しています。 OPTに浅野先生の製作例と同じLUXのSS5B2.5が入手できました。 結果、当然ですが後述のように先生のアンプとほぼ同一の歪率特性を示しています。 なお、出力管R120はメッシュプレートのRT社のものとSB社の板プレートの 2種を差し替えて測定しましたが顕著な差はありませんでした。ただし、 音質は板プレートの方がやや硬質かなという印象(私見)でした。 電源部はとくに変わったところはありませんが、各段および左右チャンネル間の デカップリングは厳重におこないクロストークの改善に留意しています。 整流管にもMullardのGZ32を使い、他の球とバランスをとりました。

測定データ

入出力特性

波形がクリップしはじめる出力4.5Wは約1400mVの入力で得られ、 この時点での歪率が約5%です。入力感度としてはやや低目ですが実用上は問題ないと思います。

全高調波歪率

歪率特性は軽いNFB(8dB)のためソフトディストーションで出力の増大に ともなう急激な歪の増加はありません。100Hzの歪率がやや悪いですが SS5Bのコアボリュームからするとやむを得ません。 なお、残留ノイズは左右チャンネルとも0.2mV以下におさまっています。

再生周波数帯域

20〜20KHzの可聴帯域は通常の聴取レベルでは ±1dB以内に収まっており、 可聴帯域外500KHzまで測定しましたが不自然なピークはなく、スムースに減衰しています。 3W時にやや帯域が狭くなりますがこれもSS5Bのコアボリュームのせいで仕方ありません。 もっとも、この小さなトランスでここまで出るのはLUXトランスの巻線技術の高さを あらわしているともいえます。さすが往年の名器です。ダンピングファクター(DF) は全帯域約4で3極管アンプの標準的な値です。

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
R120AMPとても元気に頑張ってくれています。 チビちゃんですがとてもパワフルです。 この小さな体に4.5Wのパワーを秘めており、たいていのスピーカーは難なくドラ イブしてくれます。 ラックスのOPT,CHと優雅なプロポーション、R120との絶妙なデザインとバ ランス。 スタイル抜群のキュートなフランス美人でもあります。 いまはGOODMANS AXIOM80に接続しておりますが、艶やかな音色を奏 でてくれております。 R120は、しっかり我が家の住人になりました。 末永く愛用させていただきます。
以上、岡山・吉備郡 片岡様からのレポートです。


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