PX4 シングル ステレオ
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オークション出品時の説明文より抜粋
・・・・PX4は2A3とよく比較されますが、2A3に先立つこと4年、 1929年にMOVにより開発された高能率直熱3極管で、
オーディオ専用出力管としてヨーロッパでは古くから 高い評価を得ています。
ただ、この種の球の常として流通量の少なさもあり、入手難と高価なことが欠点です。

今回使用のPX4はOsram社の新型ドームタイプですが、 バルブの大きさは2A3よりふたまわりほど大きく
いかにも頼もしげな威容を誇っています。
音色は重厚さと洗練されたエレガンスを兼ね備えた いわゆるヨーロピアントーンで欧州管を代表する球にふさわしいものです。
このPX4の素顔の持ち味を生かすため、シンプルな構成で
無帰還シングルアンプに仕上げてみました。

トランス類は出力トランスはタンゴのロングセラーU−808、 電源トランスLUX4A80などです。
真空管は前段が以前出品のPX25アンプでも好結果を得ているMullardEF37A、
出力管PX4はOsram製中古品ですがエミッションも新品同様にあり、 ゲッターの減少もほとんど見られない良品です。
ただし、管壁のプリントなどは消えています。 その分PX4アンプとしては破格の設定ですのでこの機会にぜひどうぞ。
なお、新品のPX4もございますので落札後にご相談も可能です。

シャーシはいつものとおりパネル組み合わせによる手作りで、
ネイビーブルー塗装、 大きさは300Wx200Dx180H、
サイドのパネルはパインの集成材ですが白木のよさを活かすため クリア仕上げです。
今回、3枚目写真のように裏蓋に3mm厚透明アクリル板を採用して 楽しいアンプに仕上げてみました。
ちょっとわかりづらいですが、この写真はアクリル板を装着したままの画像です。
これで電気が苦手の方も裏蓋を外すことなく安心して内部を観察できます。
一応出力管まわりには放熱孔も空けてあります。

主要定格は出力4.5Wx2、入力感度450mV
全高調波歪率1.2%(1KHz1W時)
残留ノイズ0.5mV以下、
再生周波数帯域15Hz〜26KHz(−3dB)
ダンピングファクター1.8

回路図

測定結果

ユーザーレポート

2A3PP.front.jpg Front view

2A3PP.top.jpg Top view

2A3PP.rear.jpg Rear view

2A3PP.inside.jpg inside

回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)と回路説明


前段は以前出品のR120やPX25アンプで好結果を得た低雑音ペントードEF37A を採用、PX4のドライブ電圧約32Vを1段でまかなっています。 出力段は自己バイアスでOsram社の推奨動作、プレート電圧300V, バイアス45V,プレート電流45mAの標準回路です。 PX4のフィラメント電圧が4Vですが、電源トランスに適当なものがなかったので、 LUXの4A80の90V端子に100Vを加え、6.3V(実質約7V) 2回路にそれぞれセンタータップがあるのを 利用して両波整流でDC4Vを得ています。 その分整流管用の5Vが5.5Vになるため0.2Ω10Wでドロップさせ、 さらにEF37Aは小型ヒータートランスを増設しています。 高圧側はAC300V強が得られてちょうど具合よくなりました。

測定データ

入出力特性

無帰還3極管アンプのため波形のクリップは定かには現れませんが 入力450mVで出力は規定の4.5Wに達し、この時点で歪率は5%です。

全高調波歪率

常用出力では1%前後の歪率で、大分部は2次歪みのため 音色を損なうものではなく、かえってPX4特有のハーモニーの 美しさに貢献しているようです。


周波数特性およびダンピングファクター
可聴帯域20Hz〜20KHzは−2dB以内に収まっており、 −3dBの範囲は15Hz〜26KHz(いづれも1W時)で、 無帰還シングルアンプとしては広帯域に仕上がっています。
ダンピングファクターは約1.8でやや低めですが試聴の結果、低域のもたつきなどは 感じられませんでした。

ユーザーレポート


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