PX4 シングル ステレオ
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東京江東区のOさんから製作依頼アンプです。
お話を進めながらいろいろお聴きの音楽の傾向などを 参考に検討した結果、
欧州直熱三極管シングルという 結論に達しました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

好評のウッドケースを採用してPX4に相応しいデザインとしました。

Top view

入出力端子などはすべて上面配置です。

Rear view


Bottom view


inside

とくに凝ったパーツは使っていませんが、電源フィルターにはフィルムコン、 電圧増幅部カソードパスコンにはタンタルなど要所は抑えてあります。

基本回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)



回路は一般的な電圧増幅2段による3段アンプですが、 増幅管に低内部抵抗のECC34を採用、 このECC34は同シリーズの中で最も低μ、低内部抵抗の 球で、よく使われる6SN7などの約半分です。 結果は高めの出力管負荷抵抗(5KΩ)の採用とあいまって、 強力なドライブと全体の低歪率化にあらわれています。 なお、お使いになるスピーカーが高能率のものだけとは限らないため、 NFBを付加してさらに2段階から選べるようにしました。 ダンピングファクターは無帰還で約2、NFB7dBで3.3、 12dBで6.2とスピーカーにあわせて選べます。

測定データ

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

入出力特性

出力管の動作はEp290V,Ip46mAと定格内の 内輪な設定ですが、
標準動作時の出力3.5Wを若干上回って 4.2Wあたりが波形のクリップ点です。

歪率特性


無帰還でも出力1W時0.5%以下と、 PX4アンプとしてはかなり低歪率に仕上がりました。
残留ノイズは直流点火の採用で1mV以下(無帰還時)です。

再生周波数特性

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
 先ずは、小生の我儘な依頼に対し、完璧なまでにお応え頂けた事 本当に感謝しております。
 音色の素晴らしさを文章に表現するのはとても困難ではありますが、 88dBのどちらかと云えば低感度の我が家のSPを楽々とドライブする力強さ に 驚きを感じました。
無帰還で聴く音が一番好きです。 聴きこんでいく内に、愛聴していたCDの再生音がどれも素晴らしく 良くなったのがはっきりと確認出来ました。
PX4アンプで冬の旅を聴くと本当に心に響いてくるのが、感じられます。 PX4アンプの再生音は、此れまでに聴いた事の無い厚みと艶を感じ、 聴き取れていなかった音を綺麗に再現してくれます。
 古典管PX4という素材を山中さんという名人シェフに味付けをして頂き、 再生音という格別な料理を味わえた喜びは、感動以外の何物でもありません。

 幻となってしまったLK460ではありましたが、此れほど感動を与えてくれる アンプに巡り合えたことは、貴台の飼猫にも感謝しなくてはなりませんね。

 コレクターではないのですが、素材の違うアンプを欲しくなってしまいました。 その節は、御多忙かもしれませんが宜しく御願い申し上げます。

以上、東京・江東区のO氏からのレポートですが、一部補足説明させていただきますと、 LK460・飼猫云々というくだりは、 当初PX4と同等管でValvoのLK460という 手頃な価格の球がありまして、それをお勧めして製作を進めておりました。 ところが途中で私の不注意から机の上に放置してあったLK460を猫が おもちゃにして割ってしまうというハプニングがあり、急遽PX4に変更、 O氏には心ならずも余計な出費をお願いしましたが快諾を得ました。


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