EL156/KT88三結シングル
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千葉市のNさんから最初に頂いたご相談はKT88の三結シングルアンプでしたが、
その後KT90やUS8PタイプのEL156なども入手できたので
それらも使えるようにとなりました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

フロントパネルのメーターは普段は出力監視用ですが、 スイッチ切替で出力管のバイアスチェックが可能です。

Top view

プレート電流はいずれも100mA近く流しますので、 電源、出力トランスとも余裕のあるものを採用しました。

Rear view

ご要望で入力は4系統装備、出力は4と8Ω

inside

内部拡大写真は こちら

バイアス切替スイッチ

出力管ベースにA/Bの識別シールが張ってありますので、 それにあわせてスイッチを切替えます。

基本回路図


回路は標準的なビーム管三結2段NFアンプですが、
初段管の717Aと 水銀整流管83はNさんのこだわりで、
見た目の楽しさで選ばれたそうです。
出力管EL156とKT88系ではバイアスが2倍ほど違いますので、
回路図上のカソード抵抗は実際にはそれぞれ200Ωと450Ωになり、
上の写真にもあるようにスイッチで切替えるようになっています。

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

基本性能

ノンクリップ最大出力 8Wx2(EL156、KT88とも)
入力感度 700mV(EL156) 850mV(KT88)
歪率 1KHz1W時0.1% 8W時1%以下(EL156、KT88とも)
  再生周波数帯域 20Hz〜35KHz(−1dB)
ダンピングファクター 11.4(EL156) 8.0(KT88)

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
ユーザーレポート(No.106 EL156/KT88三結シングルアンプ)

 先ずは、私の理想のアンプを現実にしていただいた、Valves’ Worldの山中様に感謝申し上げます。

 さて、私の管球アンプとの出会いは、実はもう23年ほどになります。
ちょうどCDプレーヤーが手の届く値段となり購入したところ、 いつも聴いている音楽がLPに較べCDは硬くうるさく感じ、 聴き疲れしてしまうのです。そこで、近所のオーディオショップ (当時は地方都市にもたくさんありました)で色々なアンプを聴かせていただいたところ、 たまたま気に入ったのがL社管球プリメインアンプでした。

 このアンプは音が気に入っていたのであり、実は管球であることにはあまり興味がなかった (何と管球を取り替えるのにも、いちいちメーカーに戻していたほど)のですが、 残念ながらある故障で修理に10万円以上かかるようになり、昨年末から代替のアンプを探していました。  私は決してオーディオファンではありませんが、 いい音楽を聴くために折角アンプを買い替えるのだからと、 いろいろ雑誌やホームページを研究していたところ、 やはり自分に合うのは管球アンプである、今度手に入れるアンプもおそらく20年以上は 聴き続けるだろういうことで、自分なりの理想のアンプ像を山中様に相談したのが、 このアンプ誕生のきっかけです。

 約3か月待ってやって来たアンプは、見た目にも想像以上のできばえでした。 管球やトランスの配置、色、パネルデザインなど、どこをとっても最高です。 現に、ギャラリーで見られる100台以上のアンプの中でも 1,2位を争う素晴らしい仕上がりではないでしょうか(^_^)

 肝心の音の方ですが、3結のためか、一般的なKT88のイメージに反して濃い口で 荒い豪快な表現ではなく、静寂感や響きもよく表現できる、繊細で美しい表現をする、 希望どおりのアンプとなりました。
 市販品ではよく見られるKT88アンプですが、 水銀整流管83使用、初段が717A、出力管はEL156コンパチなど、 このアンプは山中様に回路設計から起こして頂いて初めて実現した独自性が満載で、 とても満足しています。

 アンプは音出し100時間程度ですので、 これからまだまだ音の表情が変わってくるとは思いますが、 これからも心地よい音楽を奏でてくれるのは間違いありません。
感謝を添えてレポートをお届けいたしました。

(2005.9.19 千葉県 N)

以上、NさんからいただいたWord文書をそのまま貼り付けさせていただきました。
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