50CA10ppモノラルx2 
LUX KMQ60 リフォーム


 依頼者がお使いだったお馴染みラックスのKMQ60です。
入手後LUXのサービスセンターで点検整備もされており、 動作なども正常で、とくに不具合は感じておられませんが、 本来かなり無理をした設計であることや、固定バイアス調整用の 半固定抵抗などの劣化による事故なども少なくないため、 今後入手がますます難しくなる貴重な50CA10を大事に 使いたいということでご相談に来られました。同時にアンプとしてのデザインも 末永く愛着を持てるものとして、思い切って イメージの違うものにというご要望でした。


 まずモノラル構成として、QUADUのようになるべくコンパクトにまとめ、 それをウッドケースに収めたスタイルということに決定。上の写真のような スタイルに落ち着きました。
 回路はMQ60のように目一杯使い切る設計でなく、 出力は10Wもあれば十分、それよりも50CA10本来の 良さが味わえるA級PP、そしてより安全な自己バイアス採用というご要望です。  

回路図

測定結果

ユーザーレポート


Front view
2台のアンプは左右対称で仕上げています。
電源トランスとチョークは新調、 サビの出ていた出力トランスは再塗装





inside

内部拡大写真は こちら

基本回路図


 50CA10の入力感度が高く、元々無帰還もしくは軽度のNFBしか 予定していませんから、初段と位相反転は中μ双3極管で構成しています。 使用球はこの段に確保できる電源電圧も200数十Vと低いですし、 初段-PK分割は直結ですから低電圧動作でも良好な特性が得られる 6DJ8を採用、電流もたっぷり流して腰の据わった音を目指しています。

 出力段の50CA10はプレート損失30Wで、 B電圧を300Vくらいまで上げ、 180mAくらい流せば出力はA級ppでも15W以上が得られますが、 控え目に使って長寿命という要望に沿い、プレート入力18W弱、 規格の60%以下の軽い動作にとどめています。 DCバランスは2本の出力管の特性が完全に揃っているため設けていません。

 出力トランスはMQ60についていたOY−15−5で、 本来AB級pp用のため5KΩです。 A級ppの場合の最適負荷は3〜4Kと推察されますが、 正規のOY−15のため二次側10Ωタップが付いていましたので、 この端子に8Ω負荷で実質4KΩのトランスとして使用しています。

 NFBは無しでも十分な特性を示しますが、唯一ダンピングファクターのみ 2を切る状況でしたので、4dBの軽微な負帰還でDF3を確保しました。 負帰還量が少ないため一切の補正は不要です。

 電源部はトランスを新調して200mAの供給能力を確保、またAB級のように 出力に応じた消費電流の増減はありませんから、ダイオードや 大容量ケミコンによる電源の低インピーダンス化も必要としません。 従って球に優しいオーソドックスな整流管仕様を採用しています。  

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

基本性能

出力 10W 所要入力1100mV
全高調波歪率 1KHz1W時 0.05%以下
再生周波数帯域 10Hz〜74KHz(−1dB)
ダンピングファクター 3.0 
残留ノイズ 0.5mV以下(VOL最大 入力端子1KΩ終端 補正なし)
本体サイズ 230Wx325Dx180H
重さ 10KG
消費電力 80W

  入出力特性

歪率特性

周波数特性

ユーザーレポート


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