45シングル ステレオアンプ 
クラーフ結合出力


 神戸・三宮で JAZZ喫茶『Voice』を経営されておられるM氏から、 独SiemensのOPTを入手したので、これを活かし、 手持ちのパーツを加えて45の シングルアンプをというご依頼でした。

回路図

測定結果

ユーザーレポート


 Siemensのトランスはあとからケーシングされたようで、 銅メッキの立派なシールドケースに収められていました。 内部には写真のようにパーマロイコアらしきものに巻かれたものが 入っており、巻き数比1/8,1/15,1/23のタップが出た2次巻線があり、 1/23を8Ωとして使えば1次数Kのマッチングトランスとなりそうです。 1次側にもタップがあり、元々はPP用のOPTのようですが、 現在はすべてシリーズに繋げて二本の線だけが出ていました。 ただトランス本体にはSiemensの記載はなく、 製造元らしきENGELの名前が書いてあります。 このあたりの事情は入手された依頼主に確認していませんので 定かではありません。 45の内部抵抗1.6Kと想定して、このインピーダンスで1次側に20VほどのAF信号を 加えてみると、まずまずの帯域を確保できましたので45を出力管とし、 クラーフ結合で組んでみることにしました。  


Front view 

 お預かりした主なパーツは45が二本と整流管80、前段用の6SJ7それに 電源トランスと主役の独SiemensOPTです。  アンプのデザインはお任せいただいたので、 いつものウッドケーススタイルで仕上てみました。


Top view

 後列左2個がケーシングされたSiemensのOPT、その右は ノグチの古いタイプの電源トランスPMC−170ですが、せっかくですから このアンプに相応しいハンマートーン色に再塗装しました。 前方45と6SJ7の間にあるのはプレートチョークの TC−60−35W、右前は80とB電源用のオイルコン、フィルムコン およびフィルターチョークTC−10−130Wなどで、 すべて高信頼パーツでまとめてみました。


Top view

 SP出力端子は上記の理由から8と16Ω2系統を引き出してあります。


Rear view

 


内部拡大写真は こちら

基本回路図


 回路はうちで作る通常の45シングルと大きく変わるところはありません。 唯一45の負荷がプレートチョークとなり、AF信号のみ コンデンサーで取り出してマッチングトランスに導くクラーフ結合 となっている点だけが今までと違う点です。 これで未知のトランスを安全に使いながら、その音質を 確かめることが出来るようになります。 なお45にはプレートチョークの許容電流の制限もあり、 30mA強しか流していませんので、最大出力は1.7Wどまりになっていますが、 45シングルとしては標準的な動作です。

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

基本性能

出力 1.7W+1.7W 所要入力 500mV 
歪率  1.5%以下(1KHz1W時)
残留ノイズ 0.7mV以下 
周波数特性 22Hz〜19KHz(−3dB)
  ダンピングファクター 2.3
(以上いずれも8Ω負荷時)

消費電力 58W
本体サイズ 360Wx280Dx205H
重さ 12Kg

  入出力特性

出力対歪率特性

周波数特性

ユーザーレポート


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