WE300Bトランス結合パラシングル
モノブロックx2

岡山県倉敷市のMさんからの依頼で製作してみました。
当初は通常の91タイプシングルをご希望でしたが、 お話をしていると
夢はだんだん膨らんでゆき、 オールドWEへのこだわりともあいまって、
とうとうこんなアンプになってしまいました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

左から310A、350B、300Bx2、422A、折角ですから 一目で観賞できるよう前面一列に並べてみました。

Top view
前から

左が特注のOPT、右の電源トランスはMC−250ですが OPTと同じケースに組み込んでもらいました。

Top view
後ろから

中央は上左からに東一オイルフィルムコン、NC−20F、 下SC−5−150x2

Rear view

入力ケーブルは極太タイプ使用のため上面配置では 折れ曲がりが懸念されますので、これのみ後部に埋め込みました。

使用球はすべて50〜70年代のオリジナル球ですが、 良い物を見つけるのは大変になってきました。


inside

内部拡大写真は こちら

基本回路図


基本回路は前作(No.62)とほぼ同様ですが初段の310Aは3結で使用、
ドライバーは 311Bからより強力な350Bにパワーアップ、
3極管2段構成となりましたので前段のみのNFBは廃して
インターステージ2次側での ダンプ抵抗による微調整に変更、
出力段はハムバランサー、 バイアス回路とも個別にしてノイズ低減と安全性を向上させました。
さらに変更点としては出力段の300B1本あたりの負荷を高目の5.5Kに選び、
動作は425V56mAとしたため、 結果的には低歪と出力増大を達成できました。
これはWEの推奨動作例400V60mA5KΩと 450V50mA6.5KΩ
の中間的な値に該当し、 動作例の中でも低歪率が際立っています。
使用した出力トランスは現在市販されていない旧タンゴXタイプですが、
今回このアンプのためにISOさんにお願いして巻いていただきました。
電源部は500V以上の供給電圧を得るため高効率の422Aを採用、
ケミコンが使えませんから 700V耐圧のオイルフィルムで対応、
フィルターコンデンサーの 小容量をダブルチョークでカバーして
リップル低減を図りましたが、 同時に長期安定動作にも寄与しています。
このクラスのアンプを自作される方は定数計算などご自身でなされると思いますし、
それぞれ思惑もおありでコピーなどお考えでないでしょうから
基本情報だけの 開示にとどめさせていただきます。

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

入出力特性

クリッピングポイントは無帰還アンプのため明確には現れませんが、
18Wを越えたあたりから先が丸みを帯びてきます。
5%歪では20Wが得られました。

歪率特性

出力1Wまでは0.2%以下とかなり低歪率ですし、
さらに通常のオーディオルームでは大音響に相当する5W時でも 1%以下を保っています。

再生周波数帯域


再生帯域はドライバートランスNC−20Fの優秀性がいかんなく発揮され、
大容量出力トランスのおかげもあって全出力時にわたって広帯域が確保されています。
負荷を高目に選びましたのでダンピングファクターは約4と
無帰還300Bアンプとしては大き目の程よい値となりました。

ユーザーレポート

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