STC4212超ウルトラ弩級シングルアンプ 
モノラルx2 第3弾


 この超大型真空管STC4212を使ったアンプを初めて作らせて貰ったのは 昨年夏、それから一年少しの間でついに3作目の登場となりました。 今回の依頼主は神奈川県平塚市のMさん、過去に300Bアンプなど 作らせていただいておりますが、とうとうここまで到達してしまいました。 無論これ以上のアンプも広い世の中には存在するでしょうが、 現実的なところでは一応究極点でしょう。
 今までのものと基本回路は同じで、ドライバーも211と845コンパチですが、 ものぐさな(失礼!)Mさんにとっては真空管の挿し替えなど面倒、いくら大きくなってもいいから 全部並べておいて、スイッチで切替えられるようにとのご要望でした。

回路図

測定結果

ユーザーレポート



Front view 

 上が左CH、下右CHですが主役4212を中心に左右にドライバー 211と845を従えたシンメトリーデザインです。 ドライバーを両方並べたおかげで横幅は一作目より24cm大きくなり、 2台並べるには150cm程のスペースが必要になります。


Top view

 主要トランスはタンゴの特注品、  入力はバランスとアンバランスに対応、バランス受けトランスには UTC A−20を使用しました。いつものように両サイドに 取っ手を付けてありますが今回は花梨ウッドケースに相応しい ものを選んでみました。
 


Rear view

 


 出力管4212とドライバー211、845それにフィルムコンには 化粧ベースを装着、足元を引き締めてみました。


 出力管プレート電流監視メーターを中心として左右に電源スイッチと ドライバー切替スイッチを配置。


 電源スイッチを入れるとまずアンプ正面の青色LEDパイロットが点灯、 スタンバイ動作となり、 4212のフィラメントのみ給電、電源スイッチ上のLEDが 写真のように約20秒点滅します。


 その後電源トランスに給電されて各電圧が印加、高圧はさらに ダンパー管により徐々に出力管に給電され動作状態に。 LEDは電源スイッチ側が緑に、ドライバー切替側は211の時は 緑、845の時は赤に、さらにメーター照明LEDも点灯します。

 ドライバー切替スイッチを操作すると再びスタンバイ状態を経たのち 先の動作を繰り返します。これでドライバー管の挿し替えをせずに 両者をわずかな時間差で聴き比べることが出来ますし、 なにより熱くなった真空管の冷めるのを待つ必要がなくなりました。



  内部拡大写真は こちら

基本回路図

(図中の各定数等は改良のため予告なく変更されることがあります)


 基本回路は前2作とほぼ同じで、ドライバーの切替が加わったのみです。 このドライバー切替はフィラメント電源供給のみで動作しており、 両者のプレートおよびグリッドは並列接続されています。 ここも切替えないと不具合を生じる懸念がありましたが、 一旦フィラメント電源およびB電源をスタンバイさせることで、 両者は相互に影響し合うことがないことが 確認できました。これを応用すれば出力管の切替も可能で、 45と300Bを一緒に並べたアンプなどというものも 供給電圧の切替など工夫すれば出来そうです。  

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

基本性能
出力 40W
 所要入力 560 (700)mV カッコ内はドライバーに845使用時
歪率 0.2%以下(1KHz1W時)1%以下(同10W時)
周波数特性 7Hz〜98KHz(1W時−1dB)
19Hz〜60KHz(30W時−1dB)
  ダンピングファクター 3.3
残留ノイズ 1mV以下 補正なし
消費電力 290W
本体サイズ 680Wx380Dx410H
重さ 37Kg

 
入出力特性・歪率特性・周波数特性などの数値は、 一作目No.164とすべて使用真空管の個体差の範囲内でしたので、各グラフなどは そちらを参照ください。

ユーザーレポート


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