STC4212超ウルトラ弩級シングルアンプ 
モノラルx2 第2弾


 兵庫県たつの市のMさんから某所で下の写真のようなアンプを 手に入れたが、ドライバーなどを交換してNo.164のようなアンプに 仕立て直して貰えないだろうかと相談を受けたのが、昨年の秋ごろのこと。 例によってずいぶんお待たせしてしまいましたが、このほど ようやく完成となりました。


 入手されたアンプはY氏がMJ誌2002年8、9月号で発表されたものを、 使用部品などほぼ忠実にコピーしたものでしたので、 良質な電源や出力トランス・フィルムコンなどはそのまま再利用することにしました。


 内部配線なども一応それらしき方が作られたようで、とくに不具合箇所も ありませんでしたが、ドライバーを211もしくは845に変更するため 段間トランスをよりパフォーマンスの高いNC−20に交換、 ドライバー用のフィラメント電源なども必要なためシャーシは 新たに作り直すことにしました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート


Front view 

 以上の変更・改造を経て出来上がったアンプです。
初段3A/167Mは前作のC3g SRPP同様出力インピーダンスの 低い優秀な増幅管ですのでそのまま採用、ドライバーを7C5からNo.164のように 211・845コンパチに、ドライバートランスは前記のとおり NC−20Fに変更しました。


Rear view 

 電源部のフィルムコンはドライバー部の分が 不足しますので、1本だけ追加しましたが、あとは大部分そのまま再利用。 高圧遅延にはリレーが使われていましたが、より安全な5AR4を使ったダンパー管方式に 変更しました。


 部品配置もNo.164に相似、ただし元アンプに付いていた 4212のソケットは信頼性に問題がありましたので、 ここはY氏もお使いになられていた 山本音響製テフロンソケットに交換しました。 なお今回も電流計は省略、代わりに テスターで4212とドライバーのバイアス電圧を直読できるよう チェック端子を設けてあります。


 中央一番手前がドライバーの211(845差替え可)、奥が STC4212で、その巨大さが良くお分かりいただけると思います。 ドライバー管の左にあるスイッチは211.845の切り替え用で、 例によって誤操作を防ぐためロック付きを採用しています。 右側は前記のバイアスチェック端子で、上が出力管、 下がドライバーです。ここにテスターをつないで電圧をチェック、 正常動作を確認できます。


 


 アンプ稼動時の様子です!


内部拡大写真は こちら

基本回路図


 基本回路は元アンプから流用した初段の球種変更と、 電源トランスの違いによる若干の変更のみで前作No.164と変わっておりません。 したがって基本性能・特性などに大きな違いは生じておりません。  

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

基本性能
出力 40W
 所要入力 550 (700)mV カッコ内はドライバーに845使用時
歪率 0.3%以下(100〜10KHz1W時)1%以下(同10W時)
周波数特性 10Hz〜60KHz(1W時−1dB)
19Hz〜50KHz(30W時−1dB)
  ダンピングファクター 2.9
残留ノイズ 1.5mV以下 補正なし
消費電力 315W
本体サイズ 480Wx430Dx410H
重さ 35Kg

 
入出力特性・歪率特性・周波数特性などの数値は、 前作No.164とすべて使用真空管の個体差の範囲内でしたので、各グラフなどは そちらを参照ください。

ユーザーレポート


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