845(WE284D)ダブルプッシュプル
モノラルx2


 以前PX25シングルアンプを作らせていただいた、つくば市のKさんから、 セトロンの845WとWE284Dが4本づつあるので、これを使って 何かアンプをというご依頼でした。計8本もあるので一度は真剣に ものにしてみたかったPPに決定、ただしありきたりでは面白くありませんから、 トランス結合によるWPP、出力トランスは5KPPでお茶を濁すような ことはしたくありませんから、タムラさんに8KPP特注をお願いしました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート


Front view 

 デザインはお任せいただきましたが、何せトランスの数が多いので バランスよくまとめるのに一苦労です。両端に見慣れない球が挿してありますが、 国産高圧全波整流管の2K13で、これ1本で1KV200mA程度まで賄えます。 ドライバーは松下6CA7(EL34)、初段は12AU7(5814)です。


Top view 前から

 トランスは出力が特注のSF8003、電源も同じく特注でSTU3012、位相反転に B5003、ドライブトランスがB5007、チョークはA4003と4004です。


Top view 後ろから

 高圧平滑回路にはいつもの高耐圧フィルムコンを採用して、長期安定動作を 確保しています。 


Rear view

 


 Kさんから提供された出力管
左がWE284D、右がセトロン845W。 プレートの形状や電極の支持方法など各所に違いが見られます。
肝心の音の違いは、う〜〜〜〜〜ん、 評論家のように美辞麗句でうまく取り繕うといいのですが、 正直言って私には分かりませんでした。スミマセンm(__)m ただ、もちろんどちらも美音であることは確かです。 


 トランス結合WPPのため、シャーシ上のトランスの数こそ多いですが、 内部はご覧のように数えるほどのパーツしかありません。 チョークの上にかぶさっているのは前段とドライバー段用のB電源ブロックです。
内部拡大写真は こちら

基本回路図


 回路は12AU7による電圧増幅、それをB5003で位相反転したのち、 6CA7でPPドライブという構成です。段間トランスの巻数比はすべて1:1で これでゲインを稼ぐことはしていません。 出力段845(284D)は自己バイアス、負荷は通常市販品の関係で 5KPPとするところですが、適正負荷の8Kとしています。 NFBを利用すれば5KでもDFは稼げますが、今回のように 無帰還となるとやはり8Kは欲しいところです。
 電源部は850V両波整流で約1KVを確保、ここも普通は5R4あたりを 2本使うところですが、ちょうど手持ちに1KV200mA対応の 2K13がありましたので採用しました。
 845のフィラメントは2本別々に供給、それぞれにハムバランサーを挿入することで、 AC点火によるハムノイズ低減に貢献しています。そのために市販品PC3012では10V7A一巻きと なっているところを、10V3.5A二巻きに分割した特注トランスを採用しました。

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。 データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが、お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

基本性能

出力 60W 所要入力 1500mV
    1KHz 1W時全高調波歪率 0.3%以下
再生周波数帯域(−2dB) 20Hz〜25KHz
ダンピングファクター 2.2
残留ノイズ 1.5mV以下(補正なし)

消費電力 275W
本体サイズ 480Wx380Dx290H
重さ 30KG

  入出力特性

出力対歪率特性

周波数特性

ユーザーレポート


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