直熱三極管コンパチブルアンプ
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西宮市のKさんからの相談は手持の出力管のうち45、2A3、VT52
それに 300Bを1台のアンプで差換えて使えるという欲張りな計画でした。
ほとんどのパーツを集めておられたのですが、最後の詰めで
お手上げ状態に なってしまったそうで、一緒に考えてみました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

45装着時

Front view

2A3装着時

Front view

VT52装着時

Front view

300B装着時

Top view


Rear view


inside

内部拡大写真は こちら

回路図


各出力管に対応させるためフィラメント電圧、プレート電圧、バイアス抵抗それに
負荷抵抗の4つを切替える必要がありますが、これはロータリースイッチを繋ぎ合わせ
同時に切替えられるようにしました。
前面の大きなノブがそれで、4箇所を同時に切替えています。
また、出力管を替えても前段の動作に変化が及ばないようトランス結合とし、
なおかつ前段供給電源は定電圧放電管で常に一定に保っています。

各出力管の動作は以下のようになります。

出力管SWポジション フィラメント電圧プレート実効電圧 バイアス抵抗 プレート電流負荷抵抗
452.5V 270V 1500Ω 34mA5KΩ
2A32.5V 235V 750Ω 56mA2.5KΩ
VT526.3V 265V 1300Ω 39mA3.5KΩ
300B5V 280V 1160Ω 57mA3.5KΩ

測定結果

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

出力管ノンクリップ出力 歪率(1KHz0.1W)歪率(1KHz1W) ダンピングファクター残留ノイズ
452.2W0.2% 1.2% 2.20.8mV
2A33.8W0.1% 0.5% 2.01.0mV
VT522.8W0.2% 1.0% 1.86mV
300B5.6W0.2% 1.1% 2.55mV
以上は個々の出力管の特性を比較するための測定ではなく、
正常な動作範囲かどうかチェックした結果で、あくまで参考値にすぎませんのでご注意ください。

結果として5V、6.3V球はAC点火は苦しいようでやはり直流点火が無難なようです。
また、300Bは供給電圧が不足で本来の実力を出し切れていませんが、
使用部品の制約もありますし、 あちらを立てればこちらが立たずで、この種のアンプの難しさを実感しました。
ただ、それぞれの出力管の音味の違いを手軽に楽しめるという点では有意義なアンプだと思います。

ユーザーレポート

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