EL34入力トランス型ダブルPP |
三結モノラル |
静岡県菊川市のYさんからの依頼です。TelefunkenEL34やタムラのトランスなどが
手元にあるが、
これらを使って一味違うアンプをお願いしたいということでしたので、
最近あまり見られなくなったダブルPPをお勧めしてみました。
真空管アンプがプロ用機器として幅を利かせていた頃は当たり前のダブルPPですが、
入力トランスの良いものが無くなって来た昨今では作る方も少ないようです。
幸い旧タンゴのパーマロイコアを使った優秀な入力トランスの手持ちがありましたので
今回はそれを使っています。
Front view
全体の感じは以前製作したF2aモノラルが気に入っておられたので、
ほぼ同じレイアウトになりました。
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Top view
折角の入力トランス仕様ですからバランス入力も設けました。
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Rear view
チョークケースのプレス皺が写真写りのせいで際立っていますが、
実物はそれほどではありません。^_^;
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inside 入力トランスによる位相反転のため、部品点数は最小限で済みます。 内部拡大写真は こちら |
基本性能
出力 16W 所要入力 450mV
全高調波歪率 0.1%以下(1W時全帯域)
再生周波数帯域 10Hz〜26KHz(−1dB)
残留ノイズ 0.1mV以下
ダンピングファクター 約2
入出力特性
入力トランスで4倍、12AU7で12倍のゲインですから、
最大出力は約450mVで得られます。
歪率特性
常用出力の1Wまでは0.1%以下、10W時でも1%以下と
無帰還アンプとは思えぬ低歪率です。
これはきっちり二つに分割された
逆位相の信号が全く同じ増幅経路を経て
出力トランスで合成された結果で、
これ以上シンプルかつ完璧なPP回路はありません。
WEやALTECなど業務用アンプで多用されたのもうなずけます。
再生周波数帯域
いいことずくめの入力トランス型ダブルPPですが、
唯一の泣き所は入力信号とのマッチングです。
プロの現場のようにすべてのラインが600Ωで統一されていれば問題は起きませんが、
民生機器を組み合わせた場合、送り出しのインピーダンスが600Ωから
大きく外れると周波数特性に乱れを生じます。(グラフ参照)
使用者側はその点を良く理解していないと、とんでもない音を聴くことになりかねません。
マニアの間にしか行き渡らなかった理由もこの辺りにあるかもしれませんが、
最近では600Ωのバランス送り出しがちょっと高級な機器には付くようになってきました。
せっかくメーカーが付けてくれるのですから大いに利用したいものです。