手作り真空管アンプ工房



シャーシはいつもどおりアルミパネルの組み合わせによる構造で 今回は100x300を2枚での構成です。
サイドウッドはアガチス材のチークオイル仕上げです。


最近は極太コードの利用が多いようで、今回もそれらに対応できる 金メッキタイプの出力端子を採用しました。


トランス類はOPTがタンゴのロングセラーU−808, 電源トランスとチョークが山水です。
いずれも中古品ですが 黒の再塗装で綺麗に仕上げてあります。


2段直結回路の採用でカップリングコンデンサーは不用、 調整箇所はありません。

回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)と回路説明


初段は12AT7のSRPP、出力段とは直結という シンプルな回路です。
NFBは約9dBですが 時定数を持つのは出力トランスだけですので安定した 負帰環がかけられます。
負荷抵抗は2KΩがデータブックに載っていますが、 実験の結果
出力はやや下がるものの歪率特性などが 良好な5KΩに変更しました。
欧州管の例にもれず41MXPのヒーターが4Vと変則ですが、 5V端子からドロッパー抵抗を介して供給しています。
そのため整流管の巻線がなくなりましたが、6.3V球の 6AX5の採用で対処しました。
6AX5はこういう場合便利な球で、ヒーター〜カソード間の 耐圧も高いので
片側をアースして初段管などとの併用も可能です。
電流も120mAくらいまでは取れますし、 もっと使われてもいい球だと思います。

測定データ

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

入出力特性

波形がクリップするのは入力900mV時ですが 下側だけで、プラス側は直結ドライブのせいもあってさらにのびます。
動作点をもう少し変えれば出力は増大しますが、 この球の詳細が不明ですし、
無理してパワーを搾り出すことも ないのでメーカー推奨動作(200V40mA)で抑えてあります。

全高調波歪率

周波数特性およびダンピングファクター

ダンピングファクターは約7.4で3極管アンプとしては締まりのある音を聴かせてくれます。
小型のブックシェルフタイプのスピーカーなどとの相性もいいようです。



特別公開

当工房でのアンプの製作過程を写真で順を追って説明しました。 ぜひご覧ください。
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