6CA7 三結シングル ステレオ
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愛知県のSさんから小型の低能率スピーカーを 音痩せせずに
小音量でも聴けるコンパクトなアンプをという 注文でした。
6CA7の三結はもともとクオリティの高い 音を再生してくれますが、
良質のトランス類の使用で さらにグレードの高いアンプに仕上がりました。

回路図

測定結果

ユーザーレポート

Front view

出力管6CA7は定評のある松下製、前段はSiemensのE81CCを採用しました。

Top view

トランス類はすべてタンゴ製でまとめてみました。

Rear view


inside

基本回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)



前段はE81CC(12AT7)のSRPPで、この段の ゲインは約40倍ですが
6CA7の感度が高いので これで十分まかなえます。
上側のカソード電位が高くなりますので ヒーターバイアスをかけてあります。
前段の高域特性、歪率ともに優れていますのでオーバーオールの NFBは4.5dBと通常より少なくして、
いわゆる三極管らしい 音を目指しました。出力段6CA7は 自己バイアスの規格どおりの動作です。

測定データ

当工房のアンプはすべて詳細な測定を実施しております。
データで音がわかるわけでもありませんし、物理特性を 追求するアンプでもありませんが
お渡しするアンプの 健康状態だけは把握しておきたいと思っています。

入出力特性

入力1Vで定格の6Wの出力が得られ、 波形クリップ点は7Wです。

歪率特性

4.5dBという少な目のNFBですが常用出力の1Wまでは 1%以下、
その後も緩やかに増えていくソフトディストーションタイプで 三極管無帰還アンプに近い感じです。
100Hz、1KHz、10KHz3波とも良く揃ってほぼ同一カーブです。
残留ノイズは0.7mV、ダンピングファクターは4.5、 周波数特性は−1dB範囲が20Hz〜43KHzと広帯域となりました。

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
 自宅でコンピュータで仕事をしながらデスクトップで使うサブシステムが欲しくなりオーディオショップへ行きあれこれ 小型スピーカーを試聴した結果、「ALR ENTRY S」が気に入りました。
オーディオ誌などでも評判の良い人気のスピーカーですがなるほど良い音がします。

 さてアンプはやはり真空管アンプに限ると思ってみたものの市販品では適当なものが見つかりません。 2A3か300Bのキット製品でも組み立てようかと思っていたところ「Valves' World」様のサイトを見つけました。 早速、当方の使用スピーカーとデスクトップでの深夜の小音量のニアフィールドリスニングである旨、好みの音楽 ジャンルなどをお伝えし相談したところ「6CA7三結シングルアンプ」をご提案いただきました。 当初はもっとリーズナブルな値段のトランス類でご提案いただいたのですがせっかくなので見た目にもこだわりタンゴ のトランスで統一していただきました。

 「ALR ENTRY S」は能率が87dbで、本来ある程度パワーを入れないと本領を発揮しないと思いますが、 これを小音量で音痩せしないように鳴らしたいという希望でしたがこのアンプはそれを満足させてくれました。 もちろん通常の音量で鳴らせばより満足感は高くなります。 音を言葉で表すのは難しいですが、非常にレンジ感の広いスマートな音のするアンプだと思います。 サブシステムにしておくにははっきり言ってオーバークォリティーでもったいないのですが、 そこはまぁ趣味の世界なので...

 いまどき、この予算で市販のアンプを探しても普及クラスの石のプリメインアンプしか買えませんよね。 このアンプは音質はもとより、所有する満足感でそれらとは比較になりません。 外見、仕上げの良さも特筆ものです。 最近の低能率な小型スピーカーを私と同じような使用環境で使いたいとをお考えの方がおられましたら 是非おすすめしたいと思っております。

以上、愛知県西春日井郡のSさんからのレポートでした。


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