2A3トランス結合プッシュプル ステレオ
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オークション出品時の説明文より抜粋
・・・・通常2A3PPの場合、AB級動作で出力増大を狙うわけですが 今回はあえて純A級動作にこだわってみました。 結果は、浅野先生も言っていたように2A3特有の線の細さ(とくに高域の)が改善され、 重厚さとシットリ感が加味されるようになりました。 また、トランス結合による低インピーダンスドライブのおかげで、 出力もAB級自己バイアスの場合と大差ない9Wまで伸びています。

主な使用パーツは出力管2A3がCanadaマルコーニのペアチューブ、ドライバー6SN7は シルバニア、整流管5U4GBはRCA、すべてこのアンプでの使用が 初めてで、現在、調整・試聴等で延べ使用時間は2〜30時間といったところです。
トランス類は出力トランスFW50−5、 段間トランスNC−16、電源トランスMX−280、チョークコイル 山水C−10−250などで、いずれもグレーのハンマートーン塗装で 統一しています。

シャーシはいつものとおりパネル組み合わせによる手作りで、 大きさは450Wx250Dx180Hです。
なお前回出品分からアンプ前面にワンポイントアクセントとして、 当工房の真鍮エッチングエンブレムをおつけしています。

主要定格は出力9Wx2、入力感度290mV
全高調波歪率0.2%以下(1KHz1W時)
残留ノイズ1mV以下、
再生周波数帯域20Hz〜22KHz(-3dB)
ダンピングファクター2.4

回路図

測定結果

ユーザーレポート

2A3PP.front.jpg Front view

2A3PP.top.jpg Top view

2A3PP.rear.jpg Rear view

2A3PP.inside.jpg inside

回路図(増幅部は片チャンネル分のみ表示)と回路説明


前段は6SN7半分づつの2段増幅でプレート電流をしっかり流し、 歪みの少ない信号をトランスに送り込んでいます。 段間トランス2次側には100KΩの軽い負荷を挿入して高域特性を改善しています。 出力段は自己バイアスA級動作でペアチューブを使用しているため、 理論上カソードには信号電流は流れませんからパスコンは入れていません。

測定データ

入出力特性

無帰還3極管アンプのため波形のクリップは定かには現れませんが 入力290mVで出力は9Wに達します。この時点でも歪率は5%以下です。
その後さらに入力を加えていくと歪率は8%以上になりますが12Wにまで達します。

全高調波歪率

常用出力では1%以下とNFBアンプ並みの歪率で優秀な数値を示しています。


周波数特性およびダンピングファクター
大型出力トランスの採用とあいまって20Hz〜22KHzが-3dB以内に収まっており(1W時) 無帰還トランス結合アンプとしては広帯域に仕上がっています。
ダンピングファクターは 約2.4で無帰還3極管アンプの標準的な値です。

ユーザーレポート

ユーザーからのメールによる評価です。
(ご本人の許可を得て掲載しております)
このアンプをヤフーオークションで見かけた時、これだ!という直感がありました。 高価な買い物ですからいろいろ心配でしたが、評価の方を見ても信頼できる方のよう ですし一発落札させていただきました。一つ気になっていた高めの入力感度ですがド ライバーにNFBを掛けフロントに無帰還/6dB/10dBのNFB切り替えスイッ チをつけていただいた事によりオーバーゲインの心配もなくなりました。

さて音ですがとても元気の良い音でありながら粗雑さはなくシルキーなタッチです。 いままでこれらが両立するなんて考えられませんでした。トランス結合のせいなのか ややナローに感じることもなくはありませんがハイファイと音楽性が両立していま す。変にストイックに音に拘らず音楽にのめり込むことが出来ます。今まで使ってい た300Bシングルでは音ばかり気になり、6V6ppでは音楽こそ聴けるものの ローファイぶりが耳につきましたのでこの2A3ppで両者の問題点を一気に解決し てもらいました。

今ホイットニー・ヒューストンの「Love」や沢田真理子の「Mariko」、ア ン・バートンの「雨の日と月曜日は」と次々とヴォーカルばかり聴いていますが喉の 襞まで見すごせるような表現力は素晴らしいです。またリズムも軽快に決まりスピー ド感もあります。今日でちょうど1週間ですが大満足しています。

以上、石川県 匿名希望 YM様からのレポートです。

レポートにありますように、購入後もユーザーの使用形態にあわせての 改造などきめ細かいフォローをモットーに、喜んでいただけるアンプ作りを 目指しています。


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